(※写真はイメージです/PIXTA)

団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年を間近に、不動産市場も高齢者向け住宅のニーズが高まっています。今後の不動産投資は高齢者市場への参入も視野に入れる必要があるでしょう。今回は、高齢者向け賃貸アパートの代表格として注目されている「サービス付き高齢者住宅(サ高住)」について紹介します。

「サ高住」経営をはじめる手順

 

個人の不動産投資家や中小企業経営者でもサ高住の運営ができるのか、シミュレーションしてみましょう。

 

①施設の建築用地

前述の通り、サ高住の立地は生活利便性が良くない場所でも経営は成り立ちます。最近話題となっている地方都市の「ゼロ円物件」であっても、その土地が市街化区域内にあり、災害指定区域外、公道への接道義務を満たしているなど、共同住宅の建築が可能な場所であれば候補に挙げても問題ありません。

 

②施設新築工事の費用

土地が確保できたら次は建物の建築計画です。通常、サ高住(10戸程度)の新築には1.5~2億円程度の建築費がかるといわれていますが、事前にサ高住の事業者登録を行っておけば、国から建築費の補助(建築費全体の1/10。上限あり)が受けられるほか、一定の要件を満たせば住宅金融支援機構から融資を受けることもできます。

 

③管理・サービス業者との提携

施設建築中は、建物管理を委託する不動産業者や、入居者の生活支援サービスを委託するホームヘルパーや医療機関を探します。施設が地方都市にある場合、オーナー自身が頻繁に現地へ出向くことは難しいので、多数の委託先候補とじっくり面談し、信頼のおける業者がどこか、吟味して決めることが重要です。

 

④入居者募集

施設完成間近となったら入居者募集を開始します。募集は現地周辺に限定して行う必要はないので、新聞折込チラシよりもインターネットの高齢者向けポータルサイトへの広告掲載の方が効果的かもしれません。また、国土交通省のホームページの「サービス付き高齢者住宅 情報提供システム」でも募集情報が掲載されるので、そこからの反響も見込めます。

 

⑤賃貸借契約締結~入居開始

一般的な賃貸住宅と同様に賃貸借契約を結ぶことになりますが、契約内容は、長期入院などを理由に事業者から一方的に解約できない条件になっているなど、高齢者の居住の安定が確保されたものである必要があります。

 

契約中に入居者から受領できる金銭は、敷金、家賃、生活支援サービス費のみとなり、契約時に敷金を預かるか否かについては施設・地域によって異なります。その他、医療法人などが運営しているサ高住では、生活支援サービス費を受領していない施設もあります。

 

契約時に家賃・生活支援サービス費の前払金を受領することもできますが、その際は、具体的な内訳、返還金の算定方法について明示しなければなりません。またこれらの前払金は、施設の完成前に受け取ることはできません。

多くのハウスメーカーも「サ高住投資」に舵

 

多くのハウスメーカーはこれまで、地方都市にある大学・専門学校近隣での「学生向け1棟アパート投資」を提案してきましたが、近年はその提案内容を「サ高住投資」へと切り替えています。

 

その中には土地探しから施設建築、賃貸運営まで一括で請け負う会社もあるので、個人投資家でも取り組みやすくなっていることは事実です。アパートローン借入が厳しい上に少子化も相まって、従来の若者向けセオリーでは収益は頭打ちです。助成金や融資も受けられるサ高住投資は、時代に即した賃貸経営戦略といえるでしょう。

 

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※本連載は、『ライフプランnavi』の記事を抜粋、一部改変したものです。

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