(※写真はイメージです/PIXTA)

関東の「多摩ニュータウン」、関西の「千里ニュータウン」など、全国にはさまざまな大規模住宅分譲地があります。竣工当時は購入申込が殺到しましたが、年月が経てば高齢者ばかりとなり、あらゆる生活機能も低下し、〈陸の孤島〉化してしまうケースも少なくありません。ここでは、往年のニュータウンの現在を追うとともに、令和にふさわしい最先端ニュータウンの開発進展状況も検証します。

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    日本人の「憧れの住まい」だったニュータウン

    「ニュータウン」とは、戦後の人口増加による住宅需要の高まりを受け、民間企業や公的機関(公団等)が郊外の広大な土地を開発して造った大規模住宅分譲地のことをいいます。戸建住宅もありますが、ほとんどが多棟構成の共同住宅(マンション)で、間取りもその当時では珍しいリビングを中心にした欧米スタイル。「畳に縁側」が当たり前だった日本人にとって憧れの住まいでした。

     

    広い敷地をフル活用し、人とクルマの通行を分離した道路設計、建物デザインにも統一性を持たせた安全で美しく整然とした街並みが魅力の一つです。加えてスーパーマーケットや保育園、クリニックといった日常生活に不可欠な便利施設も併設しているので、住民の生活はニュータウン内ですべて完結することができます。

    「大人気だったよね…」往年のニュータウン

    ◆千里ニュータウン(大阪府 吹田市・豊中市)

    1962年に入居を開始した「千里ニュータウン」は、大阪府北部の千里丘陵に位置する、日本で初めて構想された大規模住宅分譲地です。事業主体は大阪府企業局で開発面積は1,160ha、住宅建設計画戸数3万戸超のビッグコミュニティです。

     

    米国社会学者のクラレンス・ペリーが唱えた「近隣住区理論」に基づいて、道路・鉄道・公園・学校・商店などを総合的・計画的に配置した街づくりが特徴で、同タウンの全体完成と同時期にあたる1970年に開催された「大阪万博」によって、「千里」の名は全国に広まりました。

     

    ◆多摩ニュータウン(東京都 八王子市・町田市・多摩市・稲城市)

    1971年に入居を開始した「多摩ニュータウン」は東京都西南部の多摩丘陵に位置する大規模住宅分譲地です。開発面積は2,853haで、タウン内には住宅はもちろんのこと、商業・教育・文化等多様な施設を備えています。最寄り駅は京王相模原線・小田急多摩線・多摩都市モノレール「多摩センター」駅で、東京都心のベッドタウンとして人気があります。

     

    ◆千葉ニュータウン(千葉県 白井市・船橋市・印西市)

    1979年に入居を開始した「千葉ニュータウン」は、計画面積約1,930ha、計画人口14万3,300人、計画戸数4万5,600戸のビッグタウンです。その敷地は北総線に沿って「西白井」「白井」「小室」「千葉ニュータウン中央」「印西牧の原」「印旛日本医大」の6ブロックに点在しています。東京都心と成田国際空港を結ぶ中間地点という好立地にあり、「住む」「働く」「学ぶ」「憩う」など各種機能を複合した都市を形成しています。

     

    ◆港北ニュータウン(神奈川県 横浜市都筑区)

    1983年に入居を開始した「港北ニュータウン」は、横浜市の中心部から約12km、東京都心から約25kmの丘陵地にある大規模住宅分譲地です。計画面積は約2,530haで、「乱開発の防止」、「都市農業の確立」、「住民参加のまちづくり」、「多機能複合的なまちづくり」を基本理念として誕生しました。タウン内の緑道をベースに、公園や民有地の斜面樹林などを連結させた「グリーンマトリックスシステム」と呼ばれる緑のオープンスペースを有している点が特徴です。

     

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    ※本連載は、『ライフプランnavi』の記事を抜粋、一部改変したものです。

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