(※写真はイメージです/PIXTA)

「ワンルーム条例」とは、賃貸ワンルームマンションに住む若者が地域秩序を乱すことによって周辺住民(主にファミリー世帯)の生活に悪影響が及ぶことを防ぐために定められた建築ルールです。これにより、投資用マンションの企画・販売が難しくなり、デベロッパーは大変苦戦しています。ルールを順守しつつ投資家が求めるマンションを建設する方法はあるのか、現状において可能と思われる「ワンルーム条例対策」を考察します。

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    投資用マンションに「ファミリータイプ」が出現?

    東京都内某所の投資用マンション建築現場。駅から徒歩10分、近隣には大型ショッピングモールや小・中学校なども揃う良好な住環境の中にあります。現地に掲示された販売看板を見ると、総戸数のうち20m2台の単身者向けワンルームが7割、40m2台のファミリータイプが3割という構成になっています。

     

    「投資用なのに、なぜファミリータイプが?」と疑問を持つ人も多いことでしょう。それにはトホホな理由がありました。

     

    東京都内の自治体には、ワンルームマンションの乱立を抑制する「ワンルーム条例」を定めているところがあります。その内容は、若者層をターゲットにした賃貸マンションを新築する場合、ファミリータイプの間取りを一定割合で混入させなくてはいけないというもの。以下に紹介するのは、賃貸ワンルームマンションが比較的多い自治体が定めるワンルーム条例です。

     

    ◆千代田区

    新築マンションの総戸数が20戸以上になる場合、ファミリータイプ(専有面積40m2以上)の専有面積合計が全住戸の専有面積合計の1/3以上を占めている必要があります。

     

    仮に全住戸の専有面積合計を1,000m2とした場合、そのうちの300m2をファミリータイプにまわさなくてはいけないということです。

     

    ◆中央区

    新築マンションの総戸数が10戸以上となる場合、ファミリータイプ(専有面積40m2以上)の専有面積合計が全住戸の専有面積合計(容積対象面積)の1/3以上を占めている必要があります。

     

    仮に容積対象面積を1,000m2とした場合、そのうちの300m2をファミリータイプに充てなくてはいけないということです。

     

    ◆港区

    新築マンションの総戸数が30戸以上になる場合、ファミリータイプ(専有面積50m2以上)を一定戸数(用途地域により、総戸数より29を超えた数の1~2割(端数切り上げ)に1を加えた数)以上設置する必要があります。

     

    仮に総戸数を50戸とした場合、商業地域内なら50戸-29×10%+1戸=4戸、住居系地域内なら50戸-29×20%+1戸=6戸のファミリータイプを設置する必要があるということです。

     

    ◆渋谷区

    新築マンションの総戸数のうちワンルームが15戸以上を占める場合、ファミリータイプ(専有面積50m2以上)を一定戸数(用途地域により、総戸数から15を引いた数の1/2~1/3(端数切り上げ)相当数)設置する必要があります。

     

    仮に総戸数を50戸とした場合、商業地域内なら50戸-15×1/3=12戸、それ以外の地域なら50戸-15×1/2=18戸のファミリータイプを設置する必要があるということです。

     

    ◆新宿区

    新築マンションの総戸数のうちワンルームが30戸以上を占める場合、ファミリータイプ(専有面積40m2以上)を一定戸数(用途地域により、ワンルーム戸数から29を引いた数の1/2~1/3(端数切り上げ)相当数)設置する必要があります。

     

    仮にワンルーム戸数を50戸とした場合、第1種低層住居専用地域内なら50戸-29×1/2=11戸、それ以外の地域なら50戸-29×1/3=7戸のファミリータイプを設置する必要があるということです。

     

    次ページ社会経験が乏しい若者層に、古くからの住民が困惑…

    ※本連載は、『ライフプランnavi』の記事を抜粋、一部改変したものです。

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