お祭の屋台「焼きそば」「ヨーヨー」に秘められた事実
■道行く人の視線を考える
2つ目のポイントは、看板の向きです。
看板は、見る人に対して正面になるように設置するのが理想です。例えば、道を歩いている人は進行方向を向いて歩いています。基本的には前を見て歩いているわけですので、道に対して平行に据え付けられている看板は、歩いている人から見えづらく、店の前に来るまで気づかれなかったり、気づかれずに素通りされたりすることがあります。
そのため、道行く人に看板を見てもらうためには、道と店の向きに対して垂直になる袖看板などを使うのが有効です。または、店前にスタンド看板などを置き、文字を書いた面を歩行者から見える向きにすることもできます。
最も一般的な、平面のプレートで作るものを平看板と呼びます。店頭の看板が平看板の場合は、入り口にテント看板を据え付けて、横面にも店名や業態などを書いてアピールすることができます。
分かりやすい例が、お祭の屋台です。
屋台の上部には、正面と横面に「ベビーカステラ」「焼きそば」「ヨーヨー」などと書かれています。左右からもどんな店か分かるようにして、縁日を歩いて来る人たちに店をアピールしています。同様の発想で、平面的な店のファサードも、テント看板を歩道に突き出し、店の存在をアピールすることができるわけです。
看板の向きを、人の流れに合わせて変えるということも重要です。駅前を例にすると、朝は住宅街から駅に向かって人が流れます。昼間は駅に向かう人と住宅街に向かう人が同じくらいになり、夕方以降は駅から住宅街に向かって人が流れます。
この流れを踏まえて、例えば、片面の立て看板は、朝は住宅街から来る人に向け、夕方は駅から来る人に向けます。このような小さな工夫も、お客さんに見てもらうための取り組みとして重要なポイントです。