(※写真はイメージです/PIXTA)

街を歩くなか「あっ、この店良さそう!」と何気なく店舗に入った経験はありますか。……もしかしたら、その「何気ない気持ち」、看板の“不思議なパワー”に魅了されてしまったのかもしれません。本記事では、看板製作会社「有限会社オチスタジオ」の代表・越智一治氏が各社の看板に秘められた「意図」を考察していきます。

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マクド、スタバ…「看板の色」に秘められているのは

ターゲットに伝わりやすいデザインを考えます。そのためのポイントは「色」「文字」「個性」です。本記事では「色」について考察します。

 

【色】

色それぞれが与える印象を踏まえることが大事です。色味をもつ色を「有彩色」、黒、白、その中間のグレーを「無彩色」と呼びます。無彩色には色味がありませんが、他の有彩色との相性がよく、どんな組み合わせにも対応します。

 

店名や社名の文字として黒文字や白抜きの文字を使うことが多いのも、どの色との組み合わせでも違和感を生まないためです。

 

■有彩色

 

・赤

赤、緑、青の光の三原色の一つで、目立つ色です。元気な印象を与えるため、コーポレートカラーや飲食店の看板でよく使われます。マクドナルドは赤地ですし、居酒屋も赤い看板が多くあります。食欲を促す効果もあるといわれています。また、白、黒、黄色との組み合わせによってさらに目立たせることができます。ただし、店名や社名の赤文字は「赤字」を連想させるという理由で敬遠されることもあります。

 

・黄色

光や太陽のイメージがあり、最も明るい色であることから、明るく元気な印象を与える色です。やはり飲食店などで多く使われています。赤ほど強く主張しない色ですが、主張が控えめな分、親しみやすさやかわいい印象を与えます。色の組み合わせでは、黄色と黒の組み合わせが最も目立ちやすいため、危険な場所で注意を喚起する看板でもよく使われます。

 

・オレンジ

赤よりは落ちついた色味ですが、元気で活発な印象を与える色です。炎の色に近いため、温かい印象も与えます。オレンジも食欲を増進させる効果があるといわれ、吉野家をはじめ多くの飲食店の看板で使われています。

 

・茶色

自然に多く見られる色で、落ちついた雰囲気を与えます。木や土の色であることから温もりも感じさせるため、オーガニックの商品を扱う店などの看板にも使われます。また、安心感や安定感のイメージもあるため、老舗企業や歴史ある店の看板にもよく使われます。看板材料として木を使うのも、自然で優しい印象を与えるためです。

 

・ピンク

赤よりも女性的でかわいらしい印象を与えるため、女性向けの商品を扱う店や女性や子どもをターゲットとした店の看板でよく使われます。甘い色合いであるため、お菓子などを扱う店の看板でもよく使われます。ただし、薄いピンクは彩度が低いため目立つ看板を作る際には不向きです。一方、濃い色のピンクはセクシーな印象を与えます。風俗店の看板の定番色です。

 

・紫

赤と青を混ぜた色で、神秘性をアピールできる色です。日本では古くから、高貴、高級といった印象も備える色です。ピンクと同様、女性向けの商品を扱う店でよく使われる色ですが、紫のほうが高級感と神秘的な印象を与え、大人の女性向きといえます。また、セクシーな印象を与えるため、クラブやスナックの看板でもよく使われる色です。

 

・青

三原色の一つで、目立つ色です。寒色系で、冷たさ、涼しさ、爽やかさをアピールできます。知的、清潔な印象を与えるため学習塾、病院や歯科医院、クリーニング店の看板などに使われます。また、落ちついた印象も与えるため、白と組み合わせて企業のロゴにもよく使われます。一般道路の交通標識も青地です。青色には気持ちを冷静にする効果があるとされ、必要な情報を的確に伝える目的に向いています。

 

赤系が食欲を増進させるのに対し、青系は食欲を減退させる色といわれているため、冷たい料理を提供する場合を除いて、飲食店ではほとんど使われません。

 

・緑

青と同様、三原色の一つではあるのですが、暖色と寒色の中間で、主張が控えめです。木、森、山などの自然を連想させる色で、癒し、安らぎ、リラックス効果を伝えたいときによく使われます。オーガニックな商品を扱う店や生鮮品を扱う店の看板では定番の色です。同じ自然を連想させる色でも、茶色より清潔感があることから、薬、衛生用品、健康食品のテーマカラーにも向いています。

 

また、深みがある緑は白とのコントラストが映えるため、スターバックスやサブウェイの看板などにも使われています。

次ページレクサスやメルセデスが「グレー」を使う理由は…

※本連載は、越智一治氏の著書『看板マーケティング戦略』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

看板マーケティング戦略

看板マーケティング戦略

越智 一治

幻冬舎メディアコンサルティング

ピーター・ドラッカーは、マーケティングの理想は「販売を不要にすること」であると言いました。 つまり、営業マンが売り込みに走り回らなくても、商品やサービスが「自ずから売れるようにすること」が究極のマーケティングだ…

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