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中華料理、ホテルのバー…それぞれの看板を見てみると
飲食店の場合は、メニューの一部を見せることによって「何ができるか」を紹介できます。例えば「中華料理」といっても、ラーメンやチャーハンが食べられる大衆的な店もありますし、円卓を回すような会食向けの高級店もあります。
そのような特徴を知ってもらうために、大衆的な店なら人気メニュー、会食向けの店ならコースメニューなどを紹介することができます。
キャッチコピーの話ではありませんが、何ができ、何が食べられるかをよりリアルに知ってもらう方法として、食品サンプルを使う方法もあります。デパートのレストランなどでショーウィンドー(サンプルケース)に並べる食品サンプルは、ひと目見るだけで何が食べられかが伝わります。また、リアルなサンプルが食欲を刺激し、「この店で食べよう」と思わせる入店促進の効果を生むという点で、非常に優秀な看板の一つといえます。
どんなニーズが満たせるか「何ができるのか」を考えると、伝えたいことが多過ぎて、どの業務を優先して伝えたらいいか迷うことがあります。
看板のスペースは限られていますので、なにもかも書けるわけではありません。書くことが増え過ぎると、文字が小さくなって視認性が低下しますし、情報量が多過ぎるせいで、結局何屋なのかが分からなくなることもあります。
そのような場合は、コピーを考える出発点「誰に見てほしいか」に立ち返って、お客さんが何を求め、どんなニーズをもっているかを考えてみます。
例えば、ホテルのバーではお酒が飲めます。きれいな夜景を見ることもできます。
「何ができるか」を考えると、お酒が飲めますし、夜景を見ながらくつろぐこともできるため、どちらを優先すればいいか迷います。「どのホテルのバーで飲もうかな」と迷っている人は、通常は、夜景を見ながらゆっくりとした時間を過ごしたいと思っています。
お酒が飲みたいだけであれば居酒屋でもいいですしホテルの部屋で飲むこともできるからです。そう考えると、このお客さんのニーズは「夜景」であると分かり、看板に「夜景」の二文字があることで、お客さんを引き込むことができます[図]。
どんな人でも、ニーズがなければお客さんにはなりません。喫茶店に入る人はコーヒーなどを飲んで休憩したいというニーズがありますし、水道業者に問い合わせる人はトイレを直してほしい、自動車整備工場に電話する人は車検を通したい、不動産屋に電話する人は快適に住める部屋を探したいなどといったニーズをもっています。
そのようなニーズをコピーとして言語化することで、問い合わせや入店の後押しをすることができるのです。