当たり前だけど気づかない…ドラックストアが「道行く人に商品を買わせる」言われてみれば結構すごい方法

当たり前だけど気づかない…ドラックストアが「道行く人に商品を買わせる」言われてみれば結構すごい方法
(※写真はイメージです/PIXTA)

「そういえばトイレットペーパーを切らしていたな。買って帰るか」……街を歩いているとき、ふと思い立ったことはありますか。もしかしたら、看板の“不思議なパワー”に引き寄せられたのかもしれません。本記事では、看板製作会社「有限会社オチスタジオ」の代表・越智一治氏が、看板に秘められたマーケティング戦略について解説していきます。

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「トイペ買わなきゃ」と思わせる“トリガー”は

■「皆さん」から「あなた」に絞り込む

 

看板でお客さんのAction(行動)を誘導する際には、お客さんがどんな状態で看板を見ているかを想定して、コピーを変えることが重要です。

 

基本的な考え方としては、まず店や会社から遠い場所にある看板や、より多くの人が見る看板、サイズが大きい看板には「大勢に向けたコピー」が向いています。一方、店の中にある看板、店や会社の近くにある看板、見る人が少ない看板、サイズが小さい看板には「少数、または個人に向けたコピー」が向いています。

 

AIDMA(Attention、Interest、Desire、Memory、Action)を踏まえて使い分けを考えると、Attention(注意)やInterest(関心)のための大きな看板は大勢向け、Desire(欲求)を掻き立てたりActionに結び付けるための小さな看板は少数や個人に向けたコピーを書きます。

 

ドラッグストアを例にすると、「駅前すぐ」「この先の角を左」といったコピーは大型看板に使うコピーで、駅や大通りを通る大勢の人を対象にしています。大勢向けのコピーにすることで、ドラッグストアの存在が周知でき、「そういえばトイレットペーパーがなかったな」「目薬を買っていこう」といった関心を引くことができます。

 

関心をもった人は、ドラッグストアの前にやって来ます。そこには「本日特売日」「ポイント5倍」といった案内があります。これらは買い物をしようと考えている人やポイントカードをもっている人に向けたコピーで、駅前やロードサイドの看板よりも対象としている人は少数です。「お得だな」と感じた人は店内に入るはずです。

 

そこには、「店長おすすめ」「スタッフオススメ」と書いたPOPがあります。あるいは、「肌の悩みありませんか?」「乾燥肌で悩むあなたに」といった問い掛け、呼び掛けのコピーも並んでいます[図1]。

 

[図1]

 

これらは、店内の商品に関心をもった個人に向けたもので、買いたい欲求を掻き立て、購入に結び付けます。このように、看板のコピーはお客さんがどんな状態で看板を見ているかを踏まえることが重要です。

 

お客さんが商品を買う可能性は、店との距離が近づくほど高くなります。この変化に合わせて、コピーで呼び掛ける対象も「皆さん」から「あなた」へと絞り込んでいくと、看板マーケティングの最終ゴールであるActionにつながりやすくなるのです。

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※本連載は、越智一治氏の著書『看板マーケティング戦略』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

看板マーケティング戦略

看板マーケティング戦略

越智 一治

幻冬舎メディアコンサルティング

ピーター・ドラッカーは、マーケティングの理想は「販売を不要にすること」であると言いました。 つまり、営業マンが売り込みに走り回らなくても、商品やサービスが「自ずから売れるようにすること」が究極のマーケティングだ…

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