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「トイペ買わなきゃ」と思わせる“トリガー”は
■「皆さん」から「あなた」に絞り込む
看板でお客さんのAction(行動)を誘導する際には、お客さんがどんな状態で看板を見ているかを想定して、コピーを変えることが重要です。
基本的な考え方としては、まず店や会社から遠い場所にある看板や、より多くの人が見る看板、サイズが大きい看板には「大勢に向けたコピー」が向いています。一方、店の中にある看板、店や会社の近くにある看板、見る人が少ない看板、サイズが小さい看板には「少数、または個人に向けたコピー」が向いています。
AIDMA(Attention、Interest、Desire、Memory、Action)を踏まえて使い分けを考えると、Attention(注意)やInterest(関心)のための大きな看板は大勢向け、Desire(欲求)を掻き立てたりActionに結び付けるための小さな看板は少数や個人に向けたコピーを書きます。
ドラッグストアを例にすると、「駅前すぐ」「この先の角を左」といったコピーは大型看板に使うコピーで、駅や大通りを通る大勢の人を対象にしています。大勢向けのコピーにすることで、ドラッグストアの存在が周知でき、「そういえばトイレットペーパーがなかったな」「目薬を買っていこう」といった関心を引くことができます。
関心をもった人は、ドラッグストアの前にやって来ます。そこには「本日特売日」「ポイント5倍」といった案内があります。これらは買い物をしようと考えている人やポイントカードをもっている人に向けたコピーで、駅前やロードサイドの看板よりも対象としている人は少数です。「お得だな」と感じた人は店内に入るはずです。
そこには、「店長おすすめ」「スタッフオススメ」と書いたPOPがあります。あるいは、「肌の悩みありませんか?」「乾燥肌で悩むあなたに」といった問い掛け、呼び掛けのコピーも並んでいます[図1]。
これらは、店内の商品に関心をもった個人に向けたもので、買いたい欲求を掻き立て、購入に結び付けます。このように、看板のコピーはお客さんがどんな状態で看板を見ているかを踏まえることが重要です。
お客さんが商品を買う可能性は、店との距離が近づくほど高くなります。この変化に合わせて、コピーで呼び掛ける対象も「皆さん」から「あなた」へと絞り込んでいくと、看板マーケティングの最終ゴールであるActionにつながりやすくなるのです。