通常、マンションの名称にはほとんど地名や駅名が使われます。しかし、ごくたまに地名も駅名もまったく使われていない、名称だけでは「どこに建っているのかわからない」マンションがあると、住宅ジャーナリストの榊淳司氏はいいます。地名・駅名がマンションの名前に使われない「嫌われている街」のランキングをみていきましょう。

ワースト6位は「サラリーマン(オジサン)の街」

まず、周辺エリアでは過去にそれなりの分譲マンションが供給されたにもかかわらず、いかにも使われていなさそうな候補を15駅選んだ。

 

比較的新しい南北線、大江戸線、副都心線などは除外。JRなどのメジャー路線の他の駅と距離的に近くて、なおかつ名称がかぶる地下鉄の駅も除外した。

 

この選択は恣意(しい)的だが、「一般にはよく知られているのにマンションデベロッパーに嫌われている」駅を炙(あぶ)り出すには、こういう選択法が有効だと考えた。

 

そして、選んだ15駅について、中古マンションのデータ蓄積では定評のある「マンションレビュー」というサイトで、その駅名を名称に使った物件がいくつあるのか検索にかけてみた。その結果が以下の通りである(2020年8月時点)。

 

ワースト6位から10位までを示してみたい。

 

【6位】新橋(山手線)/6物件

【7位】湯島(千代田線)/9物件

【7位】鶯谷(山手線)/9物件

【9位】御徒町(山手線)/11物件

【10位】西日暮里(山手線)/19物件

【10位】五反田(山手線)/19物件

 

マンションレビューには、過去に分譲されたほとんどの分譲マンションが登録されている。だから、この物件数はおおむね正確だと考えていい。

 

この中で乗降客数の最も多いのは「新橋」だ。イメージはサラリーマン(オジサン)の街。周辺エリアに分譲マンションはあまり多くはないが、6物件というのは少なすぎだろう。

 

ちょっと内側に入った物件は、「虎ノ門」になったりするのかもしれない。風俗や遊郭のイメージがある「湯島」と「鶯谷」以下になってしまった。

 

「西日暮里」と「御徒町」も街のイメージが避けられたのだろう。「五反田」も便利だが人気がない。

 

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※本連載は、榊 淳司氏の著書『ようこそ、2050年の東京へ』から一部を抜粋・再編集したものです。

ようこそ、2050年の東京へ

ようこそ、2050年の東京へ

榊 淳司

イースト・プレス

東京にとって1960年から90年は、「高度経済成長」による拡大・発展の30年間だった。それから現在までは「失われた20年」を経て、停滞する30年間を過ごした。では、成長を期待できない日本において、首都・東京が歩むこれからの…

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