住宅ジャーナリストが予想する「2050年の東京」…まさかの姿

コロナ禍で急速に普及したテレワーク……リモート環境の整備は、働き方だけでなく教育の場にも大きく影響しています。そして、この動きはコロナが収束したからといって止まるものではないと、住宅ジャーナリストの榊淳司氏はいいます。大小さまざまなオフィスや大学、マンションが立ち並ぶ東京は今後どう変化していくのか、現状を紐解きながら「2050年の東京」をみていきます。

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不動産市場は2050年に向かってどう動くか

みなさんが最も知りたいのは、「2050年の東京ではマンションがいくらで買えるか」ということではないか。コロナ以後、様々なメディアから記事原稿の執筆依頼が来るようになったが、ほとんどはその類のテーマに関するものだった。

 

それについてはおいおい触れるとして、まずは2050年の東京における不動産市場の構造について考えてみたい。

 

まず、2020年時点において東京という街が果たしている第一の役割は、ビジネスの拠点である。基本的にそれは2050年も変わらないだろう。

 

しかし、ビジネスの拠点としての役割の中身は、だいぶ違ったものになっている可能性がある。

 

表面的に最も変わるのはオフィスのサイズであろう。2020年はコロナイヤーとなった。そしてテレワークが急速に普及した。ただし、コロナがなくてもテレワークはいずれ普及したはずである。コロナのお陰で「テレワークが普及する」という未来を、いろいろと説明しなくても多くの人が体感できたわけだ。これはコロナがもたらした数少ないメリットの一つだろう。

 

2020年の9月時点で、例えば富士通はオフィス面積を半分に減らす方針を打ち出している。人材派遣のパソナは、本社機能の淡路島への移転を発表した。こういう動きが続くとすれば、2050年の東京におけるオフィス面積の総量は、ザックリ考えると2020年時点の6割程度にまで減少しているのではなかろうか。

 

特に都心の周縁部においては、オフィス面積の減少が明確になっていそうだ。あまり規模の大きくない雑居ビルなどが、分譲や賃貸のマンションなどに建て替わる傾向が顕著になっているだろう。

 

その理由は、オフィス需要の玉突き現象である。

 

まず、業績の良い大手企業が都心1等地で借りているオフィス面積を縮小させることによって、人気のビルに空きスペースが発生。そこへ家賃の高さや空きの少なさが理由で、致(いた)し方なく周縁部にオフィスを借りていた中堅や新興の企業が順次入ってくる。

 

そうすると、周縁部のオフィスに空きが多くなるので、そこには借り手が付きにくくなる。オーナーは諦めて、そういったビルを賃貸マンションに建て替えるか、マンションデベロッパーに売却。古い雑居ビルは取り壊されて、賃貸か分譲マンションへ建て替わる、という流れである。

 

2050年頃には、その様相がすっかり落ち着いたものになっているだろう。

 

都心周縁の雑居ビルは、立地が良ければマンションではなくホテルに変わるかもしれない。あるいは、リノベーションで賃貸用の住居に生まれ変わるパターンもありうる。

 

そして都心の周縁部には賃貸と分譲マンションが増えるので、賃料や物件価格が今よりもお手頃になる。

 

ともかく、まずは周縁エリアのオフィス面積が可視的に減ることは確かだ。

 

このような過程で、諦めてビルを建て替えたり売ったりする前に、賃料を下げてテナント募集に努力するオーナーも出てくる。だから2050年に向けて、オフィス賃料は今と比べて安くなるはずだ。

 

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住宅ジャーナリスト

1962年、京都府生まれ。同志社大学法学部および慶應義塾大学文学部卒。1980年代後半から30年以上、マンションの広告・販売戦略立案に携わる。その経験を生かし、購入者側の視点に立ちながら、日々取材を重ねている。著書に『マンションは日本人を幸せにするか』(集英社新書)、『マンション格差』(講談社現代新書)、『すべのマンションは廃墟になる』(イースト新書)などがある。

著者紹介

連載人気住宅ジャーナリストが分析!土地・不動産価値の観点からみる「未来の東京」

※本連載は、榊淳司氏の著書『ようこそ、2050年の東京へ』から一部を抜粋・再編集したものです。

ようこそ、2050年の東京へ

ようこそ、2050年の東京へ

榊 淳司

イースト・プレス

東京にとって1960年から90年は、「高度経済成長」による拡大・発展の30年間だった。それから現在までは「失われた20年」を経て、停滞する30年間を過ごした。では、成長を期待できない日本において、首都・東京が歩むこれからの…

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