アベノミクスや東京オリンピックの開催決定により、東京のマンション価格は上昇を続けてきました。しかし、住宅ジャーナリストの榊淳司氏は、この現状を「局地バブル」ではないかといいます。今後、マンション価格が暴落する可能性について、榊氏が板橋区や練馬区を危険視する理由をみていきましょう。

板橋区、練馬区のほかにも「危ない」エリア

北区も2050年には、低所得者エリアとしてのステイタスがさらに固まっていそうだ。ただ、「赤羽」駅周辺の人の賑わいは30年後もさして変わらない気がする。物販店は減るだろうが、飲食店やアミューズメント系のお店が多くなりそうだ。住みやすさは今と変わらないと思う。

 

足立区や荒川区は行政が危機感を持つべきだ。住宅が安くなっても、他の地域から転入しようというモチベーションが低いエリアではないか。

 

特に荒川区は、街として「発展したい」というエネルギーを感じさせてくれないところが気になる。

 

「日暮里」や「西日暮里」というJR山手線の駅が区域に含まれていて、ともに「新大久保」のようなコリアンタウンとして発展するポテンシャルを秘めていたにもかかわらず、なぜかそうはならなかった。

 

「南千住」駅の東側がそれなりに再開発されたが、わざわざあそこに行って「歩きたい」と思わせるようにはなっていない。何とも残念な開発ではないか。

 

足立区の「北千住」駅エリアは、多くの人をここ数年ほど「勘違い」させていたように思える。新しい大学がいくつか出来たところで、基本的なイメージは変わらない。また、駅前をきれいに整備することなら、どこでもできる。街の個性を引き立てる努力をしたとは言いがたい。

 

私から見ると、足立区と荒川区は街も住む人も行政も、それなりに努力をしないと2050年には今よりも荒んだエリアになっていそうな気がする。もちろん不動産の資産価値も、街の魅力に連動することを忘れてはならない。

 

 

榊 淳司
住宅ジャーナリスト

 


 

※本連載は、榊 淳司氏の著書『ようこそ、2050年の東京へ』から一部を抜粋・再編集したものです。

ようこそ、2050年の東京へ

ようこそ、2050年の東京へ

榊 淳司

イースト・プレス

東京にとって1960年から90年は、「高度経済成長」による拡大・発展の30年間だった。それから現在までは「失われた20年」を経て、停滞する30年間を過ごした。では、成長を期待できない日本において、首都・東京が歩むこれからの…

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