(写真はイメージです/PIXTA)

不動産法務に詳しいAuthense法律事務所の森田雅也弁護士が賃貸物件の大家さん・不動産オーナーが遭遇するよくあるトラブルとその対処方法、未然に防ぐためのポイントを解説します。

騒音などが原因で入居者同士の争いが起こった場合

入居者同士の争いが起こるトラブル賃貸物件では、入居者同士のトラブルが起きる可能性もあります。

 

では、入居者同士のトラブルが起きたらどう対処すれば良いのでしょうか? 予防策と併せてお伝えします。

 

入居者同士の争いが起きた場合の対処法

 

入居者同士のトラブルが起きた場合、大家さんとして行うべき対応は次のとおりです。

 

■張り紙や全戸配布などをして様子を見る

 

入居者同士のトラブルは、騒音やベランダでの喫煙などのマナー違反が原因で起こるケースが少なくありません。そのような場合は、注意を促す文書を全戸へ配布したり掲示板に掲示したりして、様子を見ることから始めると良いでしょう。

 

この段階では、どの部屋に対する苦情なのかまでは文書内で特定せず、以下のような内容を記載します。

 

■配布する文書や回覧板に記載する内容

・苦情の内容(深夜に複数人で話している、深夜に楽器の音が響いている、ベランダで喫煙をしている人がいる、など具体的に)

・近隣から苦情が出ている旨

・具体的な改善方法(21時以降は特に話し声に注意する、20時以降は楽器を演奏しない、ベランダで喫煙はしない、など)

・改善されないようなら、部屋を特定の上厳重注意する旨

 

これにより、トラブルのもととなっている入居者が自分のことだと気付けば、改善される可能性があります。

 

■入居者を特定して厳重注意する

 

張り紙などをしても改善されない場合は、実際に入居者を特定して個別に注意します。個別に注意をしても改善されない場合は、身元保証人となっている親などへ連絡を入れることも一つの手でしょう。

 

■内容証明郵便を送付する

 

個別の注意でも改善されない場合は、弁護士から内容証明郵便を送ってもらいましょう。これでも収まらない場合には、裁判などの法的な措置へ移行することとなります。

 

ただし、騒音などによるトラブルは家賃の滞納などと異なり、証拠を押さえることが難しいうえ、規約違反といえるほどの騒音かどうかの判断も難しいため、話し合いで解決することがより望ましいといえます。

 

入居者同士のトラブルを防ぐためには

 

入居者同士のトラブルを防ぐにはどうすれば良いでしょうか? トラブルを防ぐには、物件利用のマナーについて契約書へ記載したり、契約書とは別に守るべきマナーを文書化して入居者に署名してもらったりすることが考えられます。

 

例えば、ベランダを含む共用部分での喫煙の禁止や、夜間の楽器の演奏の禁止などです。併せて、物件利用のマナーを掲示板に掲示するなどして、常に周知もしておくと良いでしょう。

 

また、問題が起きた際に入居者同士で注意しあってしまうと、トラブルがより大きくなってしまう原因となりえます。そのため、問題が起きた際は、まず大家さんや管理会社へ連絡をするように伝えておくことも重要です。

大家さんなら知っておきたい水漏れに関する知識

賃貸物件の大家さんは、水漏れに関するトラブルも知っておくべきです。物件内で水漏れが起きてしまった場合には、どのように対処すれば良いのでしょうか?

 

修理費用は誰が支払うのか

 

水漏れが起きた場合の修理費用の負担者は、その水漏れの原因によって次のように異なります。

 

■大家さんが修理費用を負担すべき場合

 

水漏れの原因が蛇口や水道管など賃貸物件の設備が老朽化したことなどである場合、修理費用は大家さんの負担となります。

 

■入居者が修理費用を負担すべき場合

 

入居者が水道の蛇口を閉め忘れたまま外出したなど、入居者の過失などが原因で水漏れが生じた場合、修理費用は原則として入居者が負担します。

 

ただし、水漏れしている旨を入居者から連絡を受けたにもかかわらず、大家さんが迅速な対応をしなかったことが原因で被害が広がってしまったなどの場合は、大家さんも費用を負担すべきとされることがありますので、迅速に対応するようにしましょう。

 

なお、入居者が費用を負担できない場合に備え、入居時に個人賠償責任保険付きの火災保険への加入を義務付けておくと安心です。

 

水漏れトラブルが起きた場合の対処法

 

水漏れトラブルが起きてしまったらどのように対処すれば良いのでしょうか? 水漏れの連絡を受けたら、次のように対応します。

 

■「水道業者への連絡と応急処置

 

水漏れの連絡を受けたら、まずは状況を確認し、水道業者に連絡をします。水道業者が来るまでの間に被害が拡大しないよう、応急処置を行ってください。

 

なお、入居者に無断で居室へ侵入するとトラブルとなる可能性がありますので、居室へ侵入する前に入居者に連絡を取るようにしてください。

 

とはいえ、入居者と連絡が取れず連絡を取るまでに被害が拡大してしまう可能性が高い場合は、居室へ侵入せざるを得ない場合もあります。こうした事態に備え、漏水時などは無断で居室へ入る場合がある旨を契約時に説明し、契約書にも記載しておいてください。

 

■保険会社への連絡

 

応急処置が済んだら、保険会社へ連絡を取ります。費用を大家さんが負担すべき場合は、大家さんが契約している保険会社へ連絡してください。入居者が負担すべき場合は、入居者が契約している保険会社へ入居者から連絡を取ってもらいましょう。

 

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本記事はAuthense不動産法務のブログ・コラムを転載したものです。

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