(※写真はイメージです/PIXTA)

教員採用試験の倍率は、2000年度にピークを迎えたあと、20年以上にわたって下がり続けています。その背後に潜む原因とは何か。株式会社対話教育所の代表取締役・小山英樹氏が解説していきます。

「良い子タイプが多い」…教師という「孤独な人々」

まず、教師になる人たちというのは、学生時代から勉強ができて性格的にも真面目な努力家で、いわゆる良い子タイプが多い傾向にあります。学生時代のアルバイトも家庭教師や塾講師のような「先生」と呼ばれて大切にされる仕事だったりすると、まず大きな挫折を経験することがないのです。

 

挫折を知らずに大人になると、他人を頼ることを「ダメなことだ」と解釈しがちで、人に頼りたい自分を「弱い」「努力が足りない」「情けない」と感じてしまいます。今まで困り事は自分で解決してきたという自負もあるので、仕事の悩みも自分でどうにかしよう、できるはずだと考えてしまい、なかなか人に相談することができません。

 

また、教師という仕事はもともと個人プレーの多い職業です。

 

いったん教室に入ってしまうと、外からは見えにくい「密室」になります。隣の教室の先生がどんな授業をしているのか、どんな学級運営をしているのかも分かりません。

 

それに、「他人のやり方には口を出さない」という暗黙のルールがいまだに健在です。だからこそ教師の個性が保たれるし、主体性が高まるのですが、一方で、教師の孤立や、指導や成果の格差を生む一因にもなっています。

 

さらに、授業の進め方にも孤立の要因は潜んでいます。教師が子どもに説明して分からせる、指名して答えさせる、板書をノートに写させる、騒ぐ子には注意して静かにさせる……のように、使役(子どもに〜させる)によって授業を進めていると、子どもたちにとっては「やらされている」勉強なので、面白くもないし大切さも分かりません。

 

そこに「教師 対 反応の悪い大勢の子ども」という構図が生まれます。これはつらいものです。

 

また、職場の同調圧力もあります。

次ページ「チームワークが乱れる。足並みをそろえてほしい」

※本連載は、小山英樹氏の著書『教室改革』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

教室改革

教室改革

小山 英樹

幻冬舎メディアコンサルティング

「教育コミュニケーション」を実践すれば教師という仕事をもっと楽しめる 校務分掌、保護者対応、職員会議……次々に仕事が湧き出て時間が足りないーー。 教師の本分である教材研究や、生徒の個別対応に割く時間はどんど…

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