【関連記事】頑張って早慶に合格しても「打ちのめされるだけ」という現実
子どもを受け身にさせる元凶「今のままじゃダメ」
これまで教師の多くは、「教える」ことにこだわり、「いかに教え導くか」を考えていたと思います。
どうすればたくさんの知識を効率的に生徒に覚えさせられるか、どう説教すれば反省させられるか、どうお尻を叩けばやる気を起こさせられるか……。
その思考の出発点には「今のままじゃダメ」という判断があります。これが子どもの育つ意欲を損ない、受け身的にさせてしまう元凶になっています。
子どもは何かしようとすると判断を押しつけられ、ダメ出しされ、親や世間が思う「良い子」になるように矯正されるうち、次第に何もしないほうが無難と感じるようになります。
そして、ただ口を開けて、教師や保護者が食べ物を入れてくれるのを待つようになります。全ての子どもがそうだとは言いませんが、日本の従来の教育では、そういう子どもを生み出しやすいのです。
逆説的に聞こえるかもしれませんが、教師は「教える」ことを止めるとき、初めて本当の教師になることができるのです。
「教える」を手放した教育コミュニケーションを実践すると、ダメ出しする必要も矯正する必要もなくなり、教師はとても楽になります。
「生徒を合格させなきゃ」「頑張らせなきゃ」というプレッシャーから解放されるからです。その解放感は、教師自身が本来持っている素敵なリソースの発揮に繋がり、子どもたちの意欲や能動性の向上に繋がっていくのです。