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A君もB君も「すごい、すばらしい」と言える社会を
●偏差値ヒエラルキーからの脱却
「みんなちがって、みんないい」と金子みすゞの詩『私と小鳥と鈴と』にありますが、まさに私たちが目指す教育はそれです。
『私と小鳥と鈴と』の詩は小学3年生の国語の教科書(光村図書)に採用され、子どもたちが授業で習います。この詩の鑑賞で子どもたちは多様性や、一人ひとりの個性を大切にすることを学びます。子どもたちにそれを教えるなら、私たち大人も「みんなちがって、みんないい」社会をつくっていかねばなりません。
東大を頂点とする偏差値ヒエラルキーから脱却し、多様な学力観・能力観に基づいて自由に学校選択をできる社会になれば、今よりもっと豊かな未来が実現すると思うのです。
東大に行ったA君はすごいです。ずば抜けた認知能力、特に処理能力や記憶力を持っています。知的好奇心や集中力に長けているのかもしれません。
高校を中退して住み込みで板前修業をするB君もすごいです。親や学校に反発するエネルギーと厳しい修行に耐え抜く忍耐力の両方を持っています。手先の器用さは誰にも負けません。
脱偏差値ヒエラルキーの社会は、こうしてA君もB君もそれぞれ「すごい、すばらしい」と心から言える社会です。
東日本大震災をはじめとする災害は、偏差値や学歴の無意味さを私たちに教えてくれました。そんなものは関係なく、持っているリソースを惜しみなく他者に提供できることの価値、様々な違いを乗り越えて繋がれることの価値を教えてくれました。その教えを胸に子どもたちと向き合うことから、脱偏差値ヒエラルキーは始まるのではないでしょうか。