※画像はイメージです/PIXTA

ガソリン価格の高騰が続いています。日本国内でのガソリン需要が急増しているとは思えませんが、なぜこのような現象が起こるのでしょうか? それは、ガソリン価格が決定するまでのプロセスを知ることで、納得することができます。ガソリンの取引がどのように行われ、経済にどのような影響を及ぼしているのか、経済評論家の塚崎公義氏が平易に解説します。

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    ニューヨークを中心に変動する「ガソリン価格」

    ガソリン価格が高いですね。国内でドライブに行く人が急に増えたとも思われませんが、なぜなのでしょうか。それは、ガソリンの価格が国内ではなく「ニューヨークで動いているから」なのです。

     

    ガソリンの価格は「原油を輸入するコスト」「運搬するコスト」「精製してガソリンスタンドで販売するコスト」「ガソリンスタンドの適正利潤」「ガソリン税」等の合計で決まります。これらのうち大きく動くのは原油の輸入コストであり、運搬コスト等々はそれほど大きく動きません。

     

    原油価格は、ニューヨークの市場で決まります。ガソリンスタンドを運営している日本の石油会社は、ニューヨークの市場で決まった値段を産油国に支払って原油を購入するわけですが、原油価格はドル建てで決まっているので、銀行でドルを買って支払うことになります。その際のドルの値段もニューヨークで動いているのです。

    原油価格は「先物取引」で決まる

    原油価格は、先物取引で決まります。「数ヵ月先に代金を受け取って原油を渡す(原油を受け取って代金を支払う)」という契約をするのです。原油を売りたい産油国や原油を買いたい石油会社等が活発に取引するわけです。

     

    加えて、投機家も参戦します。数ヵ月後に原油価格が値上がりしていそうだと思った投機家が原油の先物を買いますから、先物価格は上昇します。投機家は石油を貯蔵する設備を持っていませんが、期日までに売却すればいいので、気にする必要はありません。

     

    さらにいえば、原油価格が下がると思えば、原油を持っていなくても先物を売っておき、期日までに買い戻せば問題ないわけです。したがって、世界中の投機家たちが原油価格を巡って活発な取引をしていて、価格形成に重要な役割を果たしているわけです。

     

    そうなると、「産油国が原油価格を釣り上げるために協調減産しそうだ」という思惑が投機家の買いを誘い、実際の減産の効果以上に原油価格が上昇する、といったことも起こり得ます。だから原油価格は比較的大幅な変動を見せるわけです。

     

    ちなみに、原油の取引が産油国ではなくニューヨークで行われているのは、最初に原油の売り買いをする少数の人がニューヨークに集まって取引をしたため、次に原油を売りたい人が買い手を探しにニューヨークへ来て、買いたい人も売り手を探してニューヨークへ来て…ということだったのかもしれませんね。そうして、世界中で原油の取引をしたい人がニューヨークに集まるようになった、というわけですね。

     

    このような現象はさまざまな場所で起きており、「集積のメリット」と呼ばれています。人々が集まると便利なので、さらに多くの人が集まる、という現象です。たとえば東京一極集中が進むのも、働きたい人が仕事を探しに東京に来るとともに、企業が労働者を探しに東京に来るから、ということなのでしょう。

     

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