JRの「赤字ローカル線」問題…そろそろ真剣に「バスへの置き換え」を議論すべき時期が来た (※写真はイメージです/PIXTA)

少子高齢化が進展する日本では、地方の衰退にも歯止めがかかりません。JRは地方に多くの赤字ローカル線を抱えていますが、このまま現状維持を続けていては、JRの経営を圧迫するのはもちろん、都市部の利用者が地方ローカル線を支えるという状況が続くことになり、問題です。経済評論家の塚崎公義氏が、解決策を探ります。

JR各社「赤字ローカル線を廃止したい」が本音では…

JR各社は、多数の赤字ローカル線を抱えています。運賃体系が大都市と地方と同じである以上、大都市の路線は黒字になる一方で、地方の路線はどうしても赤字になるわけです。

 

なお本稿では、国土を「大都市」「地方」と分けて呼ぶことにします。実際には地方といってもさまざまですが、説明を平易にするためなので、ご理解いただければ幸いです。

 

JR各社としては、赤字路線を廃止して黒字路線だけを残すことで業績を改善させたいと考えているのでしょうが、さまざまな政治的な配慮等々もあり、難しい問題となっているようです。

赤字ローカル線の費用は大都市の利用者が負担している

大都市の住民としては、自分の払った運賃の一部が地方の赤字路線の運営費用に回されているわけで、少数の赤字路線利用者のために大勢の大都市住民が負担を強いられていることになります。

 

もちろん、少数者の権利も重要です。大都市住民の意向に沿って赤字路線を廃止したら地方住民が生活できなくなる、というのであれば、大都市住民に我慢をお願いすることも合理的なのでしょう。

 

しかし、本件に関していえば、赤字の鉄道路線を廃止してバス路線に置き換えることによって、コストが大幅に下がる一方、地方住民の生活にそれほど大きな支障が出ないようにするのは可能なようです。そうであれば、ぜひバス路線への転換を前向きに検討してほしいと思います。

 

人口が増加し、経済が成長している国であれば、いまは赤字の地方路線でも「将来的に黒字に転換する」と期待しながら路線を維持するのが合理的かもしれません。しかし、今後も日本の人口は減少を続けることが確実でしょうから、現在の赤字路線が黒字転換する可能性より、赤字が一層深刻化していく可能性のほうがはるかに高いでしょう。

 

そうであれば、無理な延命を試みるのではなく、バス路線に転換することによって、鉄道時代より運行の頻度を高める等で地方の利便性をむしろ向上できないか、検討してみる価値はあると思います。

 

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    経済評論家

    1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。2022年4月に定年退職し、現在は経済評論家。

    著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』『大学の常識は、世間の非常識』(以上、祥伝社)など多数。

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