※画像はイメージです/PIXTA

岸田総理は経済対策として現金給付を検討している模様です。しかし、漫然と行えば狙った効果が得られず、国民にも不満が残る結果となりかねません。筆者は、最も効果を狙えるのは「経済的弱者」の立場にある世帯への集中投下だと考えています。どういうことなのか、詳しく見ていきましょう。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

【関連記事】平均手取り「27万円」より悲惨…衆議院解散直後に露呈する、「日本人の恐ろしい老後」

「経済的弱者」への現金給付の効果

岸田総理は弱者への現金給付を考えているようです。それ自体はいいと思いますが、具体策においては検討すべき点も多いと筆者は考えています。

 

本稿では仮に、経済的弱者を国民の20%、富裕層を国民の5%、それ以外を「庶民」と呼ぶことにしましょう。弱者は支援を必要とする人々、強者は負担を増やしてもらいたい人々、といったイメージですね。

 

貧困に苦しんでいる人は少なくありません。たとえば、老後の蓄えが底を突きそうな高齢者たち、シングルマザーたち、非正規労働者として生計を立てているワーキング・プアと呼ばれる人たち等の大半は、経済的弱者といえるでしょう。

 

そうした人々に現金を配布するのは、人道的な立場からも格差是正の立場からも望ましいといえるでしょうし、景気対策としても有効だと思います。庶民に現金を配っても老後のために貯金されてしまうかもしれませんが、弱者に現金を配れば消費されるので、需要に結びつくからです。

 

問題は、貧富の格差はどの程度が好ましいのか、ということですね。貧富の格差が大きすぎるのは問題ですが、小さすぎても人々が勤労意欲を失ってしまうリスクがあるので、どの程度の所得再配分が好ましいのか、国民的な議論が必要でしょう。

子育て世帯への恒久的な現金給付は、景気対策に効果的

子ども(子育て世帯)に現金を配ろう、という考え方もあるでしょう。これは、貧富の格差是正という観点ではないでしょうから、期待される効果としては「景気対策」と「少子化対策」といったところでしょうか。

 

富裕層は別として、庶民であっても子育て世帯は受け取った金を消費する割合が一般庶民より高いでしょうから、子育て世帯を狙って現金を給付することは景気対策になるはずです。

 

少子化対策となるか否かは、時限立法なのか恒久的な措置なのかによって異なります。今年限りの支援であれば、少子化対策には役立たないでしょうが、恒久的な措置であることが保証されれば「それなら子どもを育てることができそうだ」と思う人が増えると期待されるからです。

景気対策としての現金給付は議論の余地あり

もっとも「そもそも景気対策が必要なのか」という議論は必要です。これまでは新型コロナによる外出自粛のせいで景気が悪かったわけですが、緊急事態宣言も解除され、人出は戻りつつあります。

 

富裕層のみならず、庶民も金を持っています。10万円は受け取ったし、1年以上も飲み会に行っていないので、懐が暖かいのです。それなら、新型コロナが収束すれば、旅行や飲み会が激増して景気が一気に回復するでしょうから、景気対策は不要かもしれません。

 

一方で、新型コロナが再度蔓延すれば、再び不況となるでしょう。その場合には、観光業や居酒屋等が集中的に被害に遭うはずですから、支援もそうした人々に集中的に行うべきでしょう。

 

新型コロナとは無関係な弱者にも金を配るという選択肢は、景気対策にもなるので否定しませんが、庶民に金を配っても、どうせ旅行にも飲み会にも使えないので、配布先は弱者に限定すべきですね。

 

注目のセミナー情報

​​【減価償却】11月20日(水)開催
<今年の節税対策にも!>
経営者なら知っておきたい
今が旬の「暗号資産のマイニング」活用術

 

【国内不動産】11月20日(水)開催
高所得ビジネスマンのための「本気の節税スキーム」
百戦錬磨のプロが教える
実情に合わせたフレキシブルな節税術

次ページ目的によって財源は異なる

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧