(※写真はイメージです/PIXTA)

資源の少ない日本においてどのように電力を確保していくか。国際投資家アナリストの考察は。 ※本連載は、後藤康之氏の著書『最強の外資系資産運用術』(日本橋出版、2021年4月刊)より一部を抜粋・再編集したものです。

やっぱり原子力発電再開をしたい政府の思惑

これらの状況から察するに、日本のエネルギー技術継承や長期的なノウハウ構築、もしくは日本の強い産業に再び育てるという意味においても、原子力発電(リサイクルを含め)の立ち位置を考えるべき、という時期にもいるのかな、とも感じます。

 

古い考え方なのかもしれませんが、原子力(マイクロも含む)という発電は、アジアの大国・中国やインドなどでも進んでいますが、やはり長年のノウハウがかなり必要な業界であり、国家として戦略的産業の1つであるかと思います。

 

また2011年の福島原発事故のように、事故を起こした後は膨大の費用が掛かるわけで、その際の対策も含めリスクゼロのビジネスはどこもない、という立ち位置から考えるのもありかな、と感じています。

 

また別の目線で見ると、ESGや気候変動の観点から、CO2排出の少ないエネルギーへの転換という意味で、欧州などで化石燃料依存の発電からシフトしている、ドイツ・イギリスなどがあります。加えて欧米のエネルギーメジャー企業(BP,Shell,TOTAL,EXXON等)も将来の成長は従前の上流開発ではなく電力事業であり、再生可能エネルギーの普及や投資、カーボンプライス導入などを通じてCO2削減へ取り組むとは言っているものの、具体的なプランというよりかは、まだまだアイディアベース、を超えてないなと見受けられました。

 

そして興味深いことに、コロナ禍における世界中の自粛や行動制限、経済活動の休止による二酸化炭素削減が見られてはいますが、実際にパリ協定達成を目指すのであれば、この二酸化炭素削減レベルを10年程度継続させる必要がある、とのリサーチがあるようです。

 

日本の電力セクターについて総合的に考えると、去る2020年7月の経産省大臣の発表は、パリ協定に向けて日本政府として政治的な意欲を見せる以外は、詳細な内容があるわけではなかったのかもしれませんが、もしかして原子力発電再開の機運を少しずつ助長したい、という“裏の裏”の事情もあるのかな、と感じております。

 

後藤康之
日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
国際公認投資アナリスト(CIIA)

 

 

最強の外資系資産運用術

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後藤 康之

日本橋出版

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