(※写真はイメージです/PIXTA)

まるで冷戦時代(米ソ対立による各々の経済圏形成)と似たように、米国を中心、また中国を中心とした2つの経済圏が形成されようとしています。※本連載は、後藤康之氏の著書『最強の外資系資産運用術』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

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米中対立を起点とした世界動向を考える

2018年末時点でGDPトップ2か国である、米国(20.5兆米ドル)と中国(13.5兆米ドル)(ちなみに日本は、約5兆米ドルで第3位)。予測によって多少の違いはあるものの、2030年あたりまでには中国が世界最大の経済国(GDPベース)になると見られています。

 

将来の経済大国や世界での覇権(経済面の内容だけ触れますが)をめぐり、2017年の米大統領就任後、自国第一主義を掲げているトランプ政権が一環として“ディール”を仕掛けていた相手国の中国。互いに貿易関税を掛け合い、中国の通信機器会社の華為技術(ファーウェイ/HUAWEI)と中興通訊(ZTE)などへの米国で活動禁止(所謂制裁)等ありました。

 

このような両国間の貿易協議は、紆余曲折ありながらも、2020年1月に貿易協議の第1段階合意に達し、粛々と互いに履行する予定ではありました。

 

 

しかし同時に中国・武漢市から発生し、世界中に広まった新型コロナウイルス(COVID19)に影響により、2020年3月初旬から米国でも外出規制や都市ロックダウンなどが始まり、米国は急激な景気後退期へと突入(2020年4ー6月の実質GDP成長率は前年同期比でマイナス9.5%、2008年9月に発生した世界金融危機、所謂リーマンショック時のマイナス2.1%よりも深刻な景気後退となりました)。トランプ大統領(当時)が新型コロナウイルスを「チャイナウイルス」と誇張し、さらに米中対立が深まったといえるでしょう。

 

一方中国は2020年2月から武漢市を中心にロックダウンを実施、海外への渡航禁止や海外からの渡航ビザも無効にし、1979年以来初めてのGDPマイナス成長へ転じました。しかし国家全体で強力なロックダウンを敷いたことから、5月あたりには武漢市のロックダウンも解除となり、いち早く経済成長へと転じ、2020年4ー6月期は他国がほとんどマイナスである一方で、中国のみGDPプラス成長(+3.2%)となりました。

 

米中関係の波紋があり、当初の両国貿易の関税掛け合いに加えて、様々な対抗措置の打ち合いが連日行われ、リストにしたら枚挙のいとまがないのですし、筆者が書いている間にも新たな出来事が出てきていると思いますが、一部は下記のような問題だといわれています。

 

メディア:2020年2月に新型コロナウイルス報道を契機に、中国政府が米紙3紙の米国人記者に記者証を返還するよう命じたことから、対抗措置として、米政府も同年3月に5つの中国系報道機関の米国内の記者数に上限制を導入。 また5月に中国人記者の米国滞在を90日間に制限。

 

スパイ疑惑:2020年6月にスパイ行為の疑惑があったとして、中国人研究員を米政府が拘束。10また同年7月に査証不正取得に関連して、米サンフランシスコの中国総領事館に逃げ込んでいた中国人研究者を拘束。

 

両国領事館閉鎖:2020年7月に米国の在ヒューストン中国領事館を米政府から閉鎖命令。そして対抗措置として、中国の在成都米国領事館へも中国政府から閉鎖命令。

 

人権や香港問題:中国政府による少数民族(Xinjiang などの例)への弾圧、また香港の国家安全法(2020年7月)からの施行に対する人権問題。また香港での米国ジャーナリストのビザ更新不可やニューヨークタイムズは香港を拠点にしているデジタルニュース事業を香港から韓国・ソウルに移転。

 

領土・領海問題:中国と周辺国との国境や海峡などの問題再燃(日本とは尖閣諸島問題、台湾問題、東南アジアは南シナ海問題、イントとは国境問題等)

 

データと中国共産党との繋がり:中国企業と中国共産党によるデータプライバシー保護が不透明、という点から、ファーウエイやZTEなど米国市場や欧州市場(英国・フランス・そしてドイツ)から締め出し。そして両社の通信技術を活用する通信会社は、2020年8月に米国務省が出した”5Gクリーン通信業者”に採用されない。

 

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