(※写真はイメージです/PIXTA)

アパート経営の最終目的は利益拡大ですが、実現するには空室率を下げる工夫が不可欠です。その方法として「リフォームする」「広告を出す」という選択肢がありますが、さじ加減が難しく、多くのアパートオーナーが頭を悩ませています。何を基準に、どちらを選べばいいのか、専門家が分かりやすく解説します。

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「広告料」と「リフォーム費」の効果を比べる

現在、「広告料を出すくらいなら、しっかりとしたリフォームで入居率を高めたい。できれば賃料も上げたい」と考えているオーナーさんが多くなっているように思います。実際に、しっかりとしたリフォームで賃料を上げることに成功している事例もあります。

 

広告料と言えば、ファンドなどが介入してきたエリアの札幌市、福岡市などが有名です。このエリアでは家賃3、4ヵ月分の広告料は当たり前です。そのため、いまでは広告料に対してすっかり悪い印象を持つ方が増えています。

 

しかし、広告料の効果的な使い方を理解すれば、入居率を高められることは間違いありません。当社はしっかりとしたリフォームだけでなく、広告料との比較も非常に重要視しています。これは、リフォームも広告料も入居者を獲得するためのコスト(変動費)という認識だからです。

 

入居希望者を紹介してくれる賃貸仲介の営業マンは、常に報酬額を気にしています。これは毎月厳しい営業成績を求められているためです。極端なことを言えば、どんなにきれいな部屋だとしても報酬が少なければ案内しません。少々汚い部屋でも報酬の高い方に入居希望者を案内します。

 

例えば賃料5万円の部屋があったとして、5万円のリフォームをかけるのと、広告料を5万円増やすのではどちらが高い効果を得られるのか、という考えです。

 

実際に当社の管理物件でも、リフォームをかける選択肢と、リフォームをかけずにリフォーム費用相当額を広告料に充てる選択肢のなかで、リフォーム費用の部分を広告料に充てて入居率を高めた事例が数多くあります。

 

賃料5万円、ワンルーム16m2の物件で、当初広告料は1ヵ月分に設定し、クロスや軽微な設備追加の簡単なリフォームをする予定でした。しかしリフォーム費用が意外にかさみ、1部屋当たり10万円以上かかることがわかりました。そこで試験的に、リフォームをせず広告料を2ヵ月分に設定し募集したところ、案内数が増えたおかげで、わずか数日で空室が埋まってしまったのです。オーナーさんにとってみれば、コストが半分(リフォーム費用10万円→広告料の増加分5万円)に抑えられたということです。

 

このように、ただ単にリフォームすればよいということではなく、リフォームした場合と広告料を上げた場合の比較をしたうえで判断することが重要です。

 

リフォームに効果があると判断すればリフォームにお金をかけ、広告料アップに効果が高いと判断すれば広告料を上げればよいのです(両方が必要な場合もあります)。

 

つまり、広告料とリフォーム費用の比較が重要なのです。あくまでも利益を最大化する視点で支出をコントロールするということです。入居希望者がどの程度の部屋を、どの程度の金額で探していて、賃貸営業マンはどの程度の広告料で入居斡旋をしてくれるかを把握するということです。

 

直近の事例で面白いものがありました。その物件は12室中12室空きという、いわゆる全空き物件でした。場所は板橋区。駅徒歩17分の築古の木造・3点ユニット、広さ12m2と、入居付けの条件としては厳しい物件でした。

 

早期満室を目指していたため、広告料を3ヵ月分に設定して募集を開始。初期設定として相場賃料の10%値上げした募集条件としたところ、予想に反して次々と申し込みが入り、1ヵ月程度で満室となりました。

 

これにはリーシング担当者も驚きを隠せない様子でしたが、後日、入居斡旋をしてくれた営業マンにヒアリングした結果、理由が明らかになりました。営業マン曰く「広告料が3ヵ月分だからですよ」。広告料以外の要因としてリフォームの状況もあったとは思いますが、わずか1ヵ月で12室が満室になるのなら、広告料の費用対効果としては十分な結果だったと思います。

 

なお、早期退室の対策として半年以内に入居者が退去となった場合のペナルティーとして、仲介会社・入居者への違約金を契約書に付記しておくべきであると、ここに付け加えておきます。

 

広告料とリフォーム費用の効果を比較する

 

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※本記事は、『空室率40%時代を生き抜く!「利益最大化」を実現するアパート経営の方程式』(幻冬舎MC)より抜粋・再編集したものです。

[増補改訂版]空室率40%時代を生き抜く!「利益最大化」を実現するアパート経営の方程式

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大谷 義武,太田 大作

幻冬舎メディアコンサルティング

人口減少、住宅供給過剰の社会において、アパート経営は、昔のように何もしなくても家賃が入ってきて利益の出るものではなく、工夫しなければ利益がでない厳しい環境になっています。 そこで本書は、アパート経営における利益…

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