(※写真はイメージです/PIXTA)

小児科医である大宜見義夫氏の著書『爆走小児科医の人生雑記帳』より一部を抜粋・再編集し、子どもたちとの心の触れ合いを紹介します。

志望校の面接対策…「短所は何ですか」への、答えは。

11月半ばから、受験勉強と並行して志望校の面接対策にも力を入れた。忘れ癖のハンディ対策として長所を強調し、短所については最小限にし、質問をさらりと交わす模範解答用の練習帳を作成し、連日のように口ずさんだ。

 

「この学校の選択は誰と決めましたか」「母と決めました」

 

「長所と短所は何ですか」「長所は部屋の掃除と片付けです。短所は忘れっぽいことです」

 

「趣味は何ですか」「趣味は読書と散歩です。特技はソロバン準二段を持っています」

 

「将来の夢は何ですか」「パン屋さんです。おいしいパンを作ってお客さんを笑顔にしたいです」

 

「普通校と特別支援学校との違いは何ですか」「支援校では教師が丁寧に教えてくれます」

 

「お手伝いは何ができますか」「皿洗いやガスコンロ磨き、お米たき、トイレ掃除、部屋の掃除です」

 

猛勉強からくるストレス性の頭痛、肩こり、目の痛みに苦しみながら、連日面接用の練習帳を持ち歩き、反復練習を重ねた。 

 

高校入試を終えた一月末、B子が「先生、合格しました!」とVサインをかざして診察室に現れた。嬉しそうに語るB子に面接内容を聞いてみると、繰り返し覚えた応答問答集からかけ離れた問答になったらしかった。結果的に長所を省き、短所を強調する問答になってしまったらしいのだ。

 

「あなたの長所、短所は何ですか」「私の長所は部屋の片づけです。短所は忘れっぽいことです。教科書や体育着などすぐ忘れるので、それを乗り越えるために手にメモ書きして、頑張りました」「あぁ、手の平に書いたんですね」

 

「中学校で頑張ったことありますか」「勉強です。忘れっぽいのでがんばりました」「そうですか、努力したのですね」

 

質疑応答がエスカレートし、つい、逆質問をしてしまった。

次ページ「先生、お聞きしたいことがあります」「何ですか」

※本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『爆走小児科医の人生雑記帳』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。
※「障害」を医学用語としてとらえ、漢字表記としています。

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