「悔しい思いもたくさんした」と話す大迫環奈さん(仮名)

自閉症の特徴の一つに、触れ合いを苦手とする「接触過敏」という症状があります。そのせいで娘と手を繋げないと語る大迫環奈さん(仮名)35歳は、当時、周囲からの心ない言葉に苦しんでいました。今回は、そんな彼女を救った医師の言葉を紹介します。

自閉症の診断とハーネスを付けるという選択

その後、1歳半を過ぎた頃に病院で検査を受け、自閉症と診断された茉莉花ちゃん。しかし、環奈さんの本当の苦しみはここからだったと言います。

 

「娘は1歳を過ぎてから歩けるようになったのですが、そこで困ったことがありました。それは手を繋げないことでした。ふらふらと歩いて行ってしまうので本当はずっと手を握っていたかったのですが、それができない。だから、ハーネスを付けることにしたんです」

 

最近、街中で目にすることがあるハーネス。

 

身体や手に付けるタイプがあるが、環奈さんは娘さんの一番嫌がらない、身体に着けるタイプを選んだといいます。

 

「ハーネスは、自閉症や多動性障害の子を抱える親にとっては、三種の神器というくらい助かるグッズです。車などから子どもの命を守るには手段を選んでいられないので……。ハーネスがあって本当によかったと思っています」

 

そう語る環奈さん。

 

しかし、そのハーネスのせいで悔しい思いもたくさんしたと話す。

「女の子なのに可哀想」と言われて

「ある日、娘を連れて街中に出ていた時、知らない女性に言われたんです。『女の子なのにあんなの付けられて可哀想』と。まあ、男女は関係ないと思いますが、私が女一人で娘を連れていたから言いやすかったのでしょう。でもとにかく、『可哀想』、そう言われたことがなによりも悔しかったです。悔しくて悔しくて、泣きそうになった私は、娘を抱き上げて足早にその場を去りました。急に触れられた娘は嫌がって大泣きするし、私も泣きながら走っているし……悲惨な状況でしたね」

 

事情を知らない女性に言われた一言で大きく傷ついたという環奈さん。

 

それから出かけることを躊躇するようになったといいます。

 

「娘を守れるのは私しかいない。でもやっぱり人から批判されたり変な目で見られたりすることに何も感じないでいることはできなかった。人目は気になるし、どう思われるか気にしてしまった。すごく弱い母親だったと思います」

 

そうして、近所の人の少ない公園や川辺にしか出かけなくなっていったという2人。

 

そんな時、とある言葉に救われることになります。

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