感謝祭のため、週後半は薄商いになる可能性も
今週の木曜日は米感謝祭のため、週後半は薄商いになる可能性が考えられます。こういった場合、ポジションを手仕舞う動きが強まることから、相場の行き過ぎた動きは反動が入りやすくなります。よって、米金利は短期的な「上がり過ぎ」の反動により低下に向かう可能性もあり、そうであれば今週の米金利は、米ドル安要因になる可能性も考えられます。
では、上述のようにこのところ米ドル高のリード役のようになっているユーロ安・米ドル高についてはどうなのでしょうか。結論から述べると、ユーロ安・米ドル高は、かりに米金利が短期的な「上がり過ぎ」の反動から低下に向かったとしても、ユーロ高・米ドル安への戻りは限られるかもしれません。
ユーロ/米ドルは、10月以降金利差ユーロ劣位拡大にもかかわらず底固い展開が続くなど、一時金利差の影響が低下した局面がありました。米金利が大きく上昇するなかでもユーロ安・米ドル高が限られたのは、原油相場の上昇の影響を受けた可能性があったのです(図表5参照)。
ユーロ/米ドルに限らず、代表的な資源国通貨である豪ドルの対米ドル相場は、10月以降ユーロ/米ドル以上に原油相場との連動性が高まったように見えます(図表6参照)。米金利上場が続くなか、原油相場の影響が大きくなったのは、物価の上昇続くなかで、「モノ」の評価に過敏になっている可能性を示している可能性があります。
ユーロ/米ドル、豪ドル/米ドルの行方…カギを握るのは
ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルの行方は、米金利以上に原油相場の動向がカギを握っている可能性があります。10月末にかけて、80米ドルを大きく上回るまで上昇したWTIは、先週にかけて大きく反落しました。米国などが協調して戦略備蓄石油の放出に動く可能性を警戒したためとされますが、さらに原油相場下落となるのか、それとも再び原油相場上昇に転じるのでしょうか。
WTIはこの間80米ドル以上に上昇しましたが、2010年以降100米ドル前後まで上昇したことも何度もあったため、絶対水準としては必ずしも「上がり過ぎ」懸念が強いということではないでしょう(図表7参照)。ただ、WTIの過去5年の平均値である5年MAからのかい離率で見ると、印象が変わってきます。
10月末、WTIが80米ドルを大きく上回ったところで、5年MAからのかい離率はプラス50%以上に拡大しました(図表8参照)。少なくとも2010年以降では最高のプラスかい離率です。絶対的な水準としては、2010年以降、よりWTIが上昇するケースはあったものの、長期移動平均線との関係で見ると、2010年以降では、最も「上がり過ぎ」懸念が強くなっている可能性がありそうです。
このように原油相場の中長期的な「上がり過ぎ」懸念が強い状況で、米国などが戦略備蓄石油放出に動くなら、原油高抑制、是正にある程度有効になる可能性があります。そんな原油相場が、ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルの行方に影響するなら、原油高に伴うユーロ高・米ドル安、豪ドル高・米ドル安の動きは限られるといえるでしょう。
吉田恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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