(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍で保険金の支払いを拒否された老舗企業が倒産の憂き目に遭うなどアメリカの保険業界は揺れています。そんな旧態依然とした保険業界にアマゾンが参入したら、いったいどうなるでしょうか。※本連載は、ダグ・スティーブンス氏の著書『小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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    米中による「遠隔医療革命」のゆくえは

    アリババもヘルスケア市場に目をつけていた。傘下のアントグループを通じて医療保険の販売に乗り出したのだ。発売と同時に6500万の契約者を獲得した。最終的な目標契約数は、アメリカの総人口をわずかに下回る3億人。それも、たった1つの医療保険プランの契約数である。このままいけば、アントグループは世界最大の保険会社になる。

     

    パンデミックでアリババのヘルスケア進出の追い風となる理想的な状況が生まれた。2020年8月、アリババは先の増資で獲得した13億ドルを投じ、オンライン薬局事業の拡充計画を明らかにした。コロナ禍を背景に、オンライン薬局の利用増の新たな波が押し寄せているからだ。投資の大部分は、医薬品の販売・宅配の機能拡充に使われる予定で、残る資金は同サービスに参加するヘルスケアパートナー各社向けのデジタルツールの開発に振り向けるという。

     

    この動きに取り残されまいと、ウォルマートも獲物探しに抜かりはない。2020年6月、ウォルマートは、複数の薬剤を服用する患者の投薬管理支援に取り組むスタートアップ企業、ケアゾーンから特定の技術と知財を獲得すると発表した。同社は、薬局とクリニックの両方に関与する多角的な取り組みを進めており、モルガン・スタンレーは、ヘルスケア分野で「注視しておくべき眠れる巨人」と見ている。

     

    そして、ここでも京東は動いている。同社がヘルスケアに関わるようになったのは、医薬品のオンライン販売を開始した2013年に遡る。2016年、同社はB2Cプラットフォームの京東健康を立ち上げ、効率の高い巨大物流網を活かして医薬品の販売・宅配に乗り出した。

     

    わずか3年後、京東は市場シェア15%を獲得し、単一企業としては(オンライン、オフラインを問わず)中国最大の医薬品販売業者に成長した。同社では、中国の国民99%をカバーするという、他の追随を許さない物流網を活かし、ヘルスケアサービスのネットワークを拡大する計画だ。

     

     

    ダグ・スティーブンス
    小売コンサルタント

     

     

     

    小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」

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    ダグ・スティーブンス

    プレジデント社

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