(※写真はイメージです/PIXTA)

相続対策として生前贈与をしていても、税務調査によってひっくり返されてしまうことがあります。ここでは辻・本郷税理士法人の山口拓也氏が「相続税の税務調査」がやってきた際の当日の流れや、見られるポイント、問題があった場合に課されるペナルティについて解説していきます。税務署の方の着眼点を抑え、正しく贈与をし、指摘されないようにしていきましょう。

【前編】「相続税の税務調査」調査官は“いつ、なにを”見てやってくる?【税理士が解説】

自宅に税務調査がやってきた…午前は「ヒヤリング」

●税務調査当日の流れ

 

税務署からの連絡は、申告した税理士のところへ入ります。そこで日程調整をしたうえで、国税の方が自宅にやってくる…というのが通常の流れです。調査官は、上司と担当者の2名でくることが多いです。

 

午前10時に自宅にやってきて、12時ごろまでヒヤリングをおこないます。軽い挨拶から始まり、まずは亡くなった方の職歴、学歴などを聞かれます。相続人の方についても同じように、学歴や仕事といった身の回りの質問をしていきます。

 

ここでのポイントは、あまり喋りすぎず、基本的には聞かれたことだけに回答することと、言い切らないことです。

 

調査官は「亡くなった方の通帳を管理していたのは誰ですか?」と、ひっかけの質問をすることがあります。

 

「旦那が管理していたのでわたしは知りません」と答えると「それなら特に旦那さんの口座から奥さんの口座への入金はありませんよね」といわれます。「はい、そうです」と答えてしまうのですが、現物確認で通帳をチェックされると、数件くらいはある、という方が多いのです。

 

そうすると、「ヒヤリングで旦那さんからお金もらってませんといったのは、虚偽答弁ですか?」といわれてしまいます。

 

そうならないように「そうだったかもしれない」「あとで調べて回答します」というような答え方をするとよいでしょう。

 

また、最近ポイントとなっているのは「意思能力が被相続人にあったかどうか」です。生前贈与は、あげた方ともらった方の「あげました」「もらいました」という事実を贈与契約書などで証明できなければ成り立ちません。

 

そのため、亡くなった方の入院や通院期間、どこの病院に行ったのか、といったこともヒヤリングにて聞かれます。そこで「ずっと寝たきりで自宅に戻ってこれませんでした」などというと、「この期間寝たきりで病院にいたのなら、こちらの贈与は誰がおこなったんですか?」と税務署とトラブルになるケースもあります。

 

さて、12時になると調査官は昼食のために外へ出ます。相続人と税理士たちはそこに残って昼食をとったり、午前中の反省点を踏まえて打ち合わせをしたりします。

 

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