夫の死去後に判明…まさかの「生命保険金の受取人」登場で“困った”ワケ【税理士が解説】
相続人の関係が複雑なケースの「相続分」
相続人がたくさんいるなら、絶対に遺言書を作っておくべきです。
わたしも実務で、遺言が無くて遺産分割協議書に署名・捺印をもらうことに非常に苦戦したり、時間がかかったりした経験があります。
相続人がたくさんいる例として一番典型的なのは、お子さんがいないケースです。
子供や両親等の直系尊属がいない場合、亡くなった方(被相続人)の兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹の中で亡くなっている方がいれば、一代だけ代襲します。被相続人の甥や姪にあたる方たちです。
さて、生きている兄弟が3人、甥・姪が3人で、6人の相続人がいたとします。
この場合、通常の法定相続人で計算し、
基礎控除 3000万円+600万円×6人(法定相続人の数)=6600万円
死亡保険金の非課税 500万円×6人=3000万円
合計9600万円が非課税で使えるイメージです。
さらに複雑なケースも見ていきましょう。被相続人の父に前妻・後妻がいるケースはかなり複雑です。
被相続人の父母は亡くなっていて、相続人となるのは兄弟たちであるとします。この場合、異母兄弟(半血兄弟姉妹)や、亡くなっていればその子供まで相続人となります。
父母が同じ兄弟が「2人」、半血兄弟姉妹が「2人」、既に亡くなっている半血兄弟姉妹Aさん、Bさんがいて、Aさんに「2人」、Bさんに「3人」の子供がいる場合、「」内の9人が相続人となります。
基礎控除 3000万円+600万円×9人=8400万円
死亡保険金の非課税 500万円×9人=4500万円
で、1億2900万円は非課税で渡すことができます。
ここで、半血兄弟姉妹の場合、相続分は半分になることに注意しなければなりません。
半血兄弟姉妹の子供たちは、半分になったものを人数で割った分を相続することになります。つまりAさんの子供たちは2人、Bさんの子供たちは3人で分割します。
相続人の関係が複雑になると、相続分も複雑になってくるのでご注意ください。