(※写真はイメージです/PIXTA)

相続税申告の際、「こうしておけばよかった…」と後悔される方は多いもの。遺言書は作っておくに越したことはありませんが、相続人が多ければ特に作成をお勧めします。ここでは辻・本郷税理士法人の山口拓也氏が、事例とともに解説していきます。

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相続人の関係が複雑なケースの「相続分」

相続人がたくさんいるなら、絶対に遺言書を作っておくべきです。

 

わたしも実務で、遺言が無くて遺産分割協議書に署名・捺印をもらうことに非常に苦戦したり、時間がかかったりした経験があります。

 

相続人がたくさんいる例として一番典型的なのは、お子さんがいないケースです。

 

子供や両親等の直系尊属がいない場合、亡くなった方(被相続人)の兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹の中で亡くなっている方がいれば、一代だけ代襲します。被相続人の甥や姪にあたる方たちです。

 

さて、生きている兄弟が3人、甥・姪が3人で、6人の相続人がいたとします。

 

この場合、通常の法定相続人で計算し、

 

基礎控除 3000万円+600万円×6人(法定相続人の数)=6600万円

死亡保険金の非課税 500万円×6人=3000万円

 

合計9600万円が非課税で使えるイメージです。

 

さらに複雑なケースも見ていきましょう。被相続人の父に前妻・後妻がいるケースはかなり複雑です。

 

被相続人の父母は亡くなっていて、相続人となるのは兄弟たちであるとします。この場合、異母兄弟(半血兄弟姉妹)や、亡くなっていればその子供まで相続人となります。

 

父母が同じ兄弟が「2人」、半血兄弟姉妹が「2人」、既に亡くなっている半血兄弟姉妹Aさん、Bさんがいて、Aさんに「2人」、Bさんに「3人」の子供がいる場合、「」内の9人が相続人となります。

 

基礎控除 3000万円+600万円×9人=8400万円

死亡保険金の非課税 500万円×9人=4500万円

 

で、1億2900万円は非課税で渡すことができます。

 

ここで、半血兄弟姉妹の場合、相続分は半分になることに注意しなければなりません。

 

半血兄弟姉妹の子供たちは、半分になったものを人数で割った分を相続することになります。つまりAさんの子供たちは2人、Bさんの子供たちは3人で分割します。

 

相続人の関係が複雑になると、相続分も複雑になってくるのでご注意ください。

 

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