(※写真はイメージです/PIXTA)

12月10日に税制改正大綱が発表されました。様々なトピックが挙げられますが、ここでは「財産債務調書の改正」について見ていきましょう。辻・本郷税理士法人の山口拓也氏が解説していきます。

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税制改正大綱を見ると…「財産債務調書」対象が拡大?

「財産債務調書の改正」の内容は簡単に言うと、「総資産が10億円以上の方は、所得に関係なく財産債務調書を提出しなければならない」というものです。

 

この改正により、もしかしたら毎年財産に課税されるようになるのでは?といった様々な憶測が呼ばれています。

 

<財産債務調書の簡単な概要>

 

改正について解説する前に、財産債務調書とはなにか、簡単に説明していきます。

 

かつては、財産債務調書ではなく「財産債務の明細書」と呼ばれていました。所得が2000万円を超えている方が明細書を作って確定申告書に添付していたのですが、平成27年の改正で法律に格上げされ、名前も「財産債務調書」に変わったという経緯があります。

 

書類にはその年の12月31日時点での財産の種類、数量及び価額、債務の金額などを記載します。

 

提出しなければならないのは、「所得が2000万円を超える」かつ「総資産3億円以上」または「有価証券1億円以上」を保有している方です。総資産3億円以上というと地主さんなどで、有価証券1億円以上というと中小企業のオーナーさんなどが該当するでしょう。

 

最近はコロナで税務調査があまりなかったかもしれませんが、「財産債務調書を出してください」というお尋ねはよく届いているようで、税務署も力を入れている印象があります。

 

<「令和4年度改正案」により新しく対象となるのは…>

 

令和4年の改正案では、「総資産10億円以上」を保有する方について、「所得の基準関係なしに」財産債務調書を出すことが追加の要件として入りました。

 

総資産が10億円を超えている方には、所得が2000万円を下回っていたとしても提出する義務が発生します。

 

こちらが適用されるのは、大綱上では、令和5年分以後の確定申告からとなっています。ちなみに元々3月15日だった申告期限が、6月30日に延期されることも改正案として入っています。

 

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