(※写真はイメージです/PIXTA)

相続対策として生前贈与をしていても、税務調査によってひっくり返されてしまうことがあります。ここでは辻・本郷税理士法人の山口拓也氏が「相続税の税務調査」がやってきた際の当日の流れや、見られるポイント、問題があった場合に課されるペナルティについて解説していきます。税務署の方の着眼点を抑え、正しく贈与をし、指摘されないようにしていきましょう。

調査が終了…「修正申告」と「課されるペナルティ」

現物調査は、15時、16時ごろに終わることが多いです。

 

自宅にくるのはこの1日だけですが、それで調査が終わるのではなく、税務署に帰ってから検討した結果が1ヵ月ほど後になって税理士のもとへ届きます。

 

そのあと指摘事項について納税者の方と打ち合わせをし、「これはしょうがない」「これは違う」と落としどころをみつけて最終的に修正申告をするというケースが多いです。

 

●名義預金

 

通帳の名義は亡くなった方でなくとも、原資が亡くなった方のものである場合、これも相続財産として申告にいれてくださいといわれてしまいます。

 

きちんと贈与契約をして贈与していればそうはならないのですが、無駄遣いしないように通帳や印鑑を別の方が持っていたというと「実態が伴っていない」とされて、調査でみつかった場合に修正申告することになりがちです。

 

お子さんやお孫さんも注意が必要ですが、配偶者に30万円生活費として渡し、頑張ってやりくりして10万円を残し、その通帳に残っていた10万円も相続財産となってしまう可能性があります。

 

税務調査では「夫婦別産制」という考え方が重要です。一般的には、夫婦の財産は同じものという感覚がありますが、税務署からすると別々のものであり、名義にかかわらず原資は誰なのか、誰の収入なのかということを重視しています。

 

相続税を申告する段階でチェックをしておくことが重要です。

 

●ペナルティ

 

ペナルティは、延滞税と加算税がメインです。

 

延滞税は利息的な税金、加算税は罰金的な税金を指します。加算税には過少申告加算税と重加算税の2種類が存在します。

 

通常、かかるのは延滞税と過少申告加算税だけなのですが、仮装又は隠蔽といわれた場合には過少申告加算税は重加算税に切り替わり、本税の35%かかってしまいます。

 

また仮装又は隠蔽ということになると、通常延滞税のマックスは1年なのですが、1年以上にわたって課税されることになります。また奥さんが相続した際には本来、「配偶者の税額の軽減」で税負担を抑えることができるのですが、それも受けられないことになります。

 

重加算税にならないようきちんと対応しましょう。

 

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