(※写真はイメージです/PIXTA)

元気だった父親が急死し、1000坪の土地と収益不動産を中心とした遺産が残されました。相続人は3人ですが、相談に乗ってもらった相手から相続税1億円との概算を出され、驚愕。多額の預貯金の準備もなく、納税資金をどうするべきか答えが見つかりません。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

 

そこで、筆者の事務所で該当の土地を確認しました。

 

敷地に私道が通っていますが、通り抜けできる道路となっているので、ここは個人名義であっても評価はゼロです。

 

 

また、貸し宅地は借地権割合は60%ですので、底地は40%となります。貸家や貸店舗が建つ土地は貸家建付地となり、借地権60%と借家権30%を掛け合わせて18%減額することができます。

 

そうした評価をしていくと、父親の土地は1億6000万円ほどとなり、自宅や預金、建物などを足して約2億円となりました。

正しい評価に安堵、ソファに崩れ落ち…

2億円の財産の場合、相続税は2700万円となり、配偶者の税額軽減の適用や小規模宅地等の特例の適用により、納税額は1000万円以下となります。

 

筆者がそう伝えると、大塚さんは「ああ、よかった…」といってソファにへたり込んでしまいました。

 

なお、ここから現地調査をして土地の詳細な評価をすると、減額要素が見つかる可能性もあり、その場合はさらなる減額も期待できます。

 

おそらく、最初に相談した人が4億円と試算したのは、私道の評価減や貸宅地、貸家建付地評価をせず、単純に面積に路線価をかけて計算したものだと想定されます。

 

相続税の算出に当たっては、配偶者の税額軽減の適用や小規模宅地等の特例といった制度の活用が可能か確認し、土地の現地調査によって減額要素を見つけるというのは最低限行うべきことです。

 

今回のケースは、土地に通り抜けできる私道があるなど、個人名義でも評価がゼロになる要素があるため、該当部分の面積の算出が必要です。分筆できていない場合は、現況測量をして面積を算出することになります。

 

たとえ概算評価であっても、現実とかけ離れたアドバイスはすべきでなく、相続に慣れない相談者の不安をあおるようなことは避けなければなりません。また、相談者自身も相手をよく見極めて話を聞くことが大切だといえます。

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

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    本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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