(※写真はイメージです/PIXTA)

両親を見送った50代独身女性の元に、ほとんど会ったこともない異母兄の訃報が届きました。独身の兄は、所有するマンションで孤独死したのです。女性は葬儀を行いますが、その後、マンションの固定資産税や管理費まで請求が届くように。ひとつひとつ対処しながら、女性はある決断をするに至ります。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

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心当たりのないマンション管理組合から、突然の連絡

今回の相談者は、50代の会社員の佐藤さんです。亡くなった異母兄の相続の件でアドバイスがほしいと、筆者の事務所に訪れました。

 

 

佐藤さんの父親は再婚で、先妻とのあいだに2人の子どもを授かりましたが、離婚。その後、佐藤さんの母親と再婚しました。後妻である母と父の子どもは佐藤さんだけで、ひとりっ子として育ちました。2人の異母兄がいることは両親からも聞いていましたが、会う機会はありませんでした。

 

はじめて異母兄ふたりと顔を合わせたのは20年近く前の父親の葬儀のときでしたが、その後の付き合いはありません。

 

50代の佐藤さんは独身で、女子大を卒業して会社員になったあとも両親と同居し、一緒に暮らしていた母親が5年前に亡くなってからは、ひとりで静かに生活しています。

 

そんなある日、異母兄の住むマンションの管理組合から突然、異母兄が亡くなったという連絡が入りました。異母兄は管理組合の理事を務めるなど、周囲とは交流があったようですが、独身のため、葬儀を行える身内が佐藤さんしかいないということでした。亡くなった兄の上にもうひとり兄(孤独死した兄の実兄)がいるのですが、行方不明だというのです。

 

佐藤さんはこれまで、ふたりの異母兄に対して「兄妹」という感覚を持ったことはありませんでした。しかし、今回亡くなった兄には、佐藤さんのほかに手続きができる身寄りがいないため、佐藤さんが引き受けざるを得ませんでした。

住んでもいないマンションの固定資産税や管理費まで…

亡くなった異母兄は、築20年以上の分譲マンションに住んでおり、財産はそのマンションだけで、預金等はほとんどありませんでした。葬儀はなんとかすませたものの、その後、固定資産税や管理費の請求もすべて佐藤さんのもとに届くようになり、不安になってきました。

 

住んでもいないマンションの維持費が毎月請求されるなど、佐藤さんには負担以外の何物でもありません。そのため佐藤さんは、マンションを処分して今後の供養等の費用に充てたいと思い、相続手続きについて調べ始めました。

 

行方不明となっているもうひとりの異母兄には、離婚した妻と実子が2人いるということがわかったので、行方を確認するために連絡をとりましたが、「何も知らないし、もう関わりたくない」と突き放されてしまいました。

 

家庭裁判所への申請や財産管理人が必要であることも説明しましたが、それでも協力が得られず、そのため、佐藤さんの母方の伯父に財産管理人になってもらいました。そこまではなんとか自力で進められたのですが、その先をどうしていいかわかりません。

 

異母兄が亡くなってから、すでに半年以上が経過していました。その間立て替えたのは、葬儀費用、固定資産税、マンション管理費等で、合計すると結構な金額です。

 

とはいえ、エレベーターのない古いマンションの5階の部屋が、そう簡単に売れるとは思えず、また、仮に売れても家財道具の処分の費用を考えたら、足が出るのではと不安です。

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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