(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅金融支援機構が公表しているデータによると、現在、25人に1人が住宅ローンの返済に問題を抱えています。住宅ローン支払いの目途が立たないときの解決法の1つに、自宅を売却し、その金額でローンの残金を返済する「任意売却」が挙げられます。ここでは、クラッチ不動産株式会社代表取締役・井上悠一氏が任意売却についての質問に答えていきます。

「別れた夫と共有名義の自宅」に督促が届いた女性

Q.連帯保証人がいる場合、任意売却をすると連帯保証人に迷惑がかかりますか?

 

A.任意売却とは、売却代金が住宅ローンの残金を下回る場合の売却方法なので、任意売却後にはどうしても借金が残ってしまいます。住宅ローンの借主(主債務者)が、住宅ローンの残金を滞りなく返済していれば問題はありませんが、返済が滞っていれば、連帯保証人が代わって返済しなければなりません。

 

主債務者が任意売却後に自己破産をした場合等にも、連帯保証人に支払義務がありますので、迷惑がかかることになります。任意売却をする場合は、事前に連帯保証人に話をしておく必要があります。

 

Q.離婚して、別れた夫と共有名義の自宅に住んでいますが、離婚時に夫が住宅ローンの支払いをすることで合意したにもかかわらず、支払いが滞り、私のもとに督促がきました。私が支払うことはできないので、自宅の売却を検討していますが、任意売却をすることはできますか?

 

A.自宅が共有名義の場合、共有者である離婚した元夫が売却を承諾しなければ、自宅を売却することはできません。任意売却をする前に、まずは元夫に任意売却の了承を得ておく必要があります。

 

もっとも、自宅が夫婦共有名義ならば、住宅ローンも夫婦共同で組んでいると思います。夫婦共同の住宅ローンには、夫婦の収入を合算して一つの住宅ローンを組み、夫(もしくは妻)が主債務者、妻(もしくは夫)が連帯保証人になる場合と、夫婦双方が主債務者となって二つの住宅ローンを組む場合(ペアローン)があります。

 

今回のケースでは、前者の「夫が主債務者、妻が連帯保証人」になっていると思われます。夫婦共同で住宅ローンを組んでいる場合、離婚をしたとしても、融資先の金融機関が認めない限り、住宅ローンの連帯保証人から外れることはできません。

 

たとえ、離婚後は夫が住宅ローンの返済を続けていくと夫婦で取り決めをしたとしても、融資先の金融機関には関係のないことなのです。早急に元夫と連絡を取り、任意売却に了承してもらうことが必要です。

 

Q.競売開始決定の通知が届きました。今からでも任意売却をすることはできますか?

 

A.競売が開始されても開札期日の前日までなら、任意売却を行うことは可能ですが、期日ギリギリとなると、競売の取り下げに応じてくれない債権者もいますので、理想は1ヵ月前までに任意売却の相談をすることです。

 

任意売却にはさまざまな手続きがあるので、少なくとも3ヵ月程度の期間は必要です。

 

 

井上悠一

クラッチ不動産株式会社代表取締役

 

※本連載は、井上悠一氏の著書『あなたを住宅ローン危機から救う方法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

あなたを住宅ローン危機から救う方法

あなたを住宅ローン危機から救う方法

井上 悠一

幻冬舎メディアコンサルティング

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