(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅金融支援機構が公表しているデータによると、現在日本では、25人に1人が住宅ローンの返済に問題を抱えていると分かっています。滞納が続くと、強制執行される前に家を売却し、売った金額でローンを返済していく「任意売却」手段をとるのが一般的です。しかしその後も生活困窮が続くと…。クラッチ不動産株式会社代表取締役の井上悠一氏が、任意売却中に「借金整理を援助してくれる制度」や「生活を支援してくれる制度」について解説していきます。

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任意売却後の「借金整理を援助してくれる」制度

任意売却(※)後に残った借金を整理したくても、弁護士や司法書士に支払うお金がないという方は、国によって設立された日本司法支援センター(法テラス)の民事法律扶助制度が利用できます。

 

※ 任意売却…ローンが残っている状態で自宅を売却し、売却した金額で住宅ローンの残金を返済する方法。住宅ローンの滞納が続き、支払えなくなった際によく取られる方法。

 

民事法律扶助制度とは、弁護士や司法書士などに支払う費用を立て替えてくれる制度のことで、利用には法テラスが定める「収入要件」と「資産要件」を満たす必要があります。

 

申込者および配偶者の手取り月収額(賞与を含む)が[図表1]の基準を満たしていることが要件となります。

 

[図表1]法テラスが定める収入要件

任意売却後の「生活を支援してくれる」制度

全国すべての都道府県、市区町村に設置されている社会福祉協議会では、失業や減収などにより生活に困窮している方に対し、生活の立て直しを目的として、資金の貸付と必要な相談や支援を行う「生活福祉資金貸付制度」を実施しています。

 

この制度を利用できるのは、①必要な資金をほかから借りることが困難な「低所得者世帯」、②障害者手帳などの交付を受けた人が属する「障害者世帯」、③65歳以上の高齢者が属する「高齢者世帯」で、貸付金の種類には下記のようなものがあります。

 

■生活福祉資金の種類

 

生活福祉資金には大きく①総合支援資金、②福祉資金、③教育支援資金、④不動産担保型生活資金の4種類があります([図表2]参照)。

 

[図表2]生活福祉資金の種類

 

■生活費が借りられる「総合支援資金」

 

総合支援資金では、生活再建を図るため、①生活支援費、②住居入居費、③一時生活再建費を無利子で貸し付けてくれます(連帯保証人がいない場合は、年1.5%の利子が必要)。

 

  • 生活支援費……生活を再建するまでの間に必要な生活費として、原則3ヵ月間(最大12ヵ月間まで延長可能)、月20万円まで貸し付けてくれます(単身世帯の場合は月15万円以内)。
     
  • 住宅入居費……敷金、礼金など住宅の賃貸契約を結ぶために必要な資金として、40万円まで借りることが可能です。
     
  • 一時生活再建費……就職活動や技能習得、家賃や公共料金などの滞納の一時立て替え、債務整理に必要な費用などについて、60万円まで貸し付けてくれます。

 

【「総合支援資金」を借りるための要件】

 

貸付を行うことにより自立が見込まれる方で、次の要件をすべて満たす必要があります。

次ページハローワークへ…支援金が認められる「6つの要件」

※本連載は、井上悠一氏の著書『あなたを住宅ローン危機から救う方法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

あなたを住宅ローン危機から救う方法

あなたを住宅ローン危機から救う方法

井上 悠一

幻冬舎メディアコンサルティング

住宅ローンの月々の返済が滞ると、金融機関から住宅ローンの一括返済を求められます。 しかし、そもそも月々の返済ができなくなっているわけですから一括返済などできるはずがありません。 そうなると裁判所の決定により自宅…

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