5―まとめ
2019年6月に、金融庁の金融審議会で報告された「老後資金の2,000万問題」においては、公的年金の他に、2,000万円の金融資産が必要だと提唱された。過去のデータからは、適切な投資対象を選択して長期的に積立投資をすれば、「老後資金の2,000万問題」も解決できると言える。
本稿では、長期的な資産形成を目指して、適切な株式インデックスを選択して積立投資をすれば、十分な金額の最終残高が期待できることが分かる。もし日本バブル崩壊直前から毎月2万円の積立投資をしていた場合、日本株式以外は最終残高がいずれも3,000万円を超えた。長期的な資産形成には一括投資だけでなく、積立投資を用いての株式インデックス投資がとても有効であることが分かる。
また、株式インデックスとしては、一括投資と同様に積立投資の場合でも、米国株式(ナスダック100、S&P500、ダウ平均株価)、先進国株式(MSCIコクサイ)など、収益力、成長力が期待できる株式インデックスが良い。
積立投資の方が一括投資より年率利回りが高く、リスクも低い傾向にある。但し、投資期間が長期であればあるほど、積立投資の時価残高が増えていき、一括で投入した元本金額に近づくにつれて直近の相場動向に影響されるようになる。長期的に積立投資のリターンとリスクは一括投資との差が小さくなっていく。
以上のことを踏まえての結論だが、これから資産形成を考える方は、株式インデックス投資する場合には、つみたてNISAや確定拠出年金等の税制優遇制度を活用して積立投資を長期間続けるとともに、資金に余裕があるなら、あまりタイミングを気にせずに追加で一括投資をするのが良いと思う。
余裕資金での一括投資のタイミングについて強いて言うならば、株価暴落というニュース等が流れたらチャンスなのかもしれない。逆にニュースに動揺して売ることはあまりお勧めできない。
また、繰り返しになるが、投資対象としては、一括投資でも積立投資でも、米国株式、先進国株式など、今後の成長が期待できる株式インデックス投資がお勧めである。いずれにせよ、長期間投資することが大切なので、積立投資は今すぐにでもスタートするのが良いと思う。
(参考文献)
水野友理那「TOPIXと日経225の違い-どちらに投資した方が有利なのか」
水野友理那「ドルコスト平均法を考える-過去データに基づく分析」
熊 紫云
ニッセイ基礎研究所
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