2―金融・経済危機の直前から毎月2万円を投資したらいくらになるか?
それでは、国内外の代表的な株式インデックスを使って、4つの金融・経済危機直前から毎月2万円を積立投資した場合に最終残高がいくらになったのかを見てみよう。
具体的には日本バブル崩壊直前、ITバブル崩壊直前、リーマン・ショック直前、コロナ・ショック直前から毎月月末に2万円を投資し、2021年9月末まで保有したものとする。
4つの金融・経済危機直前から各株式インデックスに積立投資した場合、いずれの場合においても最終残高は累計積立元本を上回っている【図表1】。投資期間が短いコロナ・ショック直前からの場合を除くと、リーマン・ショック直前からMSCI EMに投資した場合を唯一の例外として、最終残高は累計積立元本の倍以上に増えている。また、当然ではあるが、投資期間が長ければ長いほど、累計積立元本が大きくなるので、最終残高が大きくなる傾向が確認できる。
それぞれの株式インデックスを確認してみると、4つのどの時点から投資を始めても、米国株式(ナスダック100、S&P500、ダウ平均株価)と先進国株式(MSCIコクサイ、MSCI World)、全世界株式(MSCI ACWI)の最終残高が上位を占めている。特にナスダック100はいずれの期間からスタートしても最終残高が最も高かった。
日本バブル崩壊直前の1990年年初からナスダック100に毎月2万円ずつ投資し、2021年9月末まで31年9カ月持ち続けた場合は最終残高が1億2,747万円と、累計積立元本の764万円からおおよそ17倍になっている。次にダウ平均株価、S&P500、MSCIコクサイ、MSCI World、MSCI ACWI、MSCI EMの順に最終残高が大きい。日本株式以外は最終残高がいずれも3,000万円以上になっている。
一方、日本株式(TOPIX、日経平均株価)を見てみよう。日本バブル崩壊直前からTOPIXに毎月2万円ずつ投資した場合、最終残高は1,621万円と最も低かった。日本株式でも最終残高は累計積立元本の2~3倍になっているものの、米国株式、先進国株式、全世界株式等と比べ見劣りする。ただ、ITバブル崩壊直前以降は、他の株式インデックスとの最終残高の差は縮まってきている。
但し、日本バブル崩壊以外の金融危機直前から積立投資をスタートした場合でも、米国株式、先進国株式の最終残高が上位で、日本株式の最終残高が下位となっていることに変わりはない。