3―株式インデックスへの積立投資のリターン
投資成績を評価する際に、投資金額の大きさ、投資期間や期中のキャッシュフローも加味できる金額加重収益率(内部収益率)という便利なものがある。そこで、金額加重収益率(年率)を各株式インデックスの投資リターン(年率利回り)として計算してみた。また、積立投資の特徴を明らかにするため、一括投資した場合の結果も比較対象として加えている。
4つの金融・経済危機直前から2021年9月末まで毎月2万円ずつを投資した場合、代表的な国内外の株式インデックスのリターンが全てプラスであることが分かる【図表2】。
積立投資のリターンを見てみると、4つのどの期間においても米国株式(ナスダック100、S&P500、ダウ平均株価)はリターンが9%~30%台と高水準であり、圧倒的に上位であった。その次にリターンが高かったのは先進国株式(MSCIコクサイ、MSCI World)、全世界株式(MSCI ACWI)である。
新興国株式(MSCI EM)と日本株式(TOPIX、日経平均株価)は他の株式インデックスと比べて相対的にリターンが低かったが、4%を超え一定の水準を保っている。
一方で、各株式インデックスへ積立投資のリターンは一括投資より高い傾向にあることが図表2から見て分かる。投資期間が一番長い日本バブル崩壊直前からだと、米国株式、先進国株式、新興国株式と全世界株式は一括投資と積立投資のリターンは同程度であり、優劣をつけにくいが、ITバブル崩壊やリーマン・ショック直前からだと、明らかに積立投資の方が一括投資より年率利回りが高かった。
例えば、ダウ平均株価に投資した場合は日本バブル崩壊直前からだと積立投資は一括投資とほぼ同じ年率利回りだが、ITバブル崩壊直前、リーマン・ショック直前とコロナ・ショック直前からだと投資期間が短くなるにつれ、積立投資の方が一括投資よりそれぞれ2.1%、5.0%、8.9%利回りが高くなっている。
それに対して、日本株式へ積立投資は、4つの投資期間において一括投資より安定的にリターンが高かった。例えば日経平均株価へ積立投資は一括投資よりリターンがずっと4%~6%程度高かった。
株価下落直前という最悪のタイミング(図表3:黄色の点A)で株式インデックスへ積立投資をスタートしても、一括投資と同様に長期的には高い収益が期待できる。
とはいえ、積立投資は高値のタイミング(図表3:点A)で投資開始をしても、定期的に購入することができるため、のちに訪れてくる最低点(図表3:緑点)を含め、安値のタイミングを逃さずに継続的に投資を続けることができるため、長期的に値上がりする場合は利回り面では一括投資よりも安価で積み立てることができ、効率が良いというメリットがある。