「29歳で医学部入学」不登校・高校中退…“レールをはずれた”彼が、医師を目指したワケ【精神科医が解説】

「29歳で医学部入学」不登校・高校中退…“レールをはずれた”彼が、医師を目指したワケ【精神科医が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

年々増加傾向にある、精神疾患患者数。医療法人瑞枝会クリニック院長・精神科医の小椋哲氏は、自身もメンタルの問題による不登校、高校中退といった経験を経て29歳で医学部に入学しました。同氏が幼少期から大学入学を振り返りつつ、経験があるからこそわかる「精神医療に求められるもの」について解説していきます。

しかし「人生とは本当に、何が起こるか分からない」

しかし、今となっては、精神科医として当事者に寄り添ううえでは大きな糧となっています。有効ではない対人援助を受けているときの感覚が分かるからです。

 

目の前に医師がいても暗く、もやがかかったように遠くに感じられた、あの小椋少年の感覚です。そして今、初診で患者さんにお会いするとき、この方もきっと、そのもやの中にいるのだろうと想像できるのです。人生とは本当に、何が起こるか分からないものです。

 

私は、偶然にも訪れた書店で自らの生きづらさを解決するヒントに出会えたわけですが、PSMの人たちでこうした幸運に恵まれる人は多くはないでしょう。日本の精神医療には、助けを求めて精神科の門を叩く一人でも多くの人たちに、必要な援助を届けられる仕組みが必要です。

 

私はそのために、当院で実践している診療モデルをデジタル化していくためのアプリ開発と、対人援助スキルの体系化に挑んでいます。非常に困難なチャレンジではありますが、PSMの人たちの生きづらさを軽減し、少数派か多数派かを問わず、すべての人が輝き活躍できる社会を実現するため、粘り強く取り組んでいくつもりでいます。

 

小椋 哲

医療法人瑞枝会クリニック 院長

※本連載は、小椋哲氏の著書『医師を疲弊させない!精神医療革命』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

医師を疲弊させない!精神医療革命

医師を疲弊させない!精神医療革命

小椋 哲

幻冬舎メディアコンサルティング

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