「顔を洗うのも苦痛」…うつ病患者が“自己治癒力を高める”理想的なリハビリ【医師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

うつ病に対して、患者や周囲の人は「本人のやる気や身体的な問題にあるのではないか?」と考えてしまいがちです。しかし療養においては、病気について正しいイメージをもって向き合うことが非常に重要。ここでは、うつ病の方はどんな状態に陥っているのか、そして療養生活で自己治癒力を促進・阻害するものにはどのようなものが挙げられるか、医療法人瑞枝会クリニック・院長の小椋哲氏が解説していきます。

【関連記事】精神科外来が「5分で診察終了」せざるを得ない恐ろしい理由【医師が解説】

うつ病は「怠け」「身体の病気」ではなく…

患者に正しくうつ病と向き合ってもらうために、患者の目線に合わせて、分かりやすくその状況を伝えることは、精神医療に携わる者の基本的な役割だと私は考えています。

 

当院では、うつ病を次のように自転車の例を用いて説明しています。

 

健康な人が「スイスイ運転できる自転車」の状態だとすると、うつ病の方は、「チェーンが外れた自転車」に例えることができます。チェーンが外れた自転車では、ペダルを踏む意思はあっても、そして実際に踏んでいても、自転車が動きません。

 

うつ病とはまさにこのような状態に陥ることなのです。

 

自転車であれば、チェーンが外れていれば、走れないことは一目瞭然です。ですが、うつ病の場合、怠けている、あるいはどこか身体の病気ではないのかと、本人も周囲も思ってしまいがちです。

 

しかし、脳の中に、「自転車のチェーンがあり、そこが外れている」とイメージさせることは、うつ病からの回復を目指す患者本人にも、家族にもとても有益です。なぜなら、本人と家族が、今自分たちが何に取り組むべきかに対して、共通のイメージをもつことができるからです。

 

原因は自転車をこぐ本人のやる気や身体的な問題にあるのではないし、本人が自分を責めることや、周囲が𠮟咤激励することにも、なんら建設的な効果がないことも理解しやすいからです。

 

どうやってチェーンをかけ直すのか。その原動力は「自己治癒力」というほかありません。

医療法人瑞枝会クリニック 院長 精神科医

1968年生まれ、鳥取県出身。
2005年熊本大学医学部医学科を卒業後、2007年東京大学医学部附属病院精神神経科に入局。
東京都立松沢病院、東京大学医学部附属病院(助教)、宇治おうばく病院などの勤務を経て、2015年瑞枝カウンセリングオフィスを開所。
瑞枝カウンセリングオフィスでの心理サービスを、精神科保険医療のなかでも展開するため、予約診療を自在に組み合わせた「瑞枝会モデル」を構築。
その実践の場として、2016年瑞枝クリニックを開業し、2018年医療法人瑞枝会クリニックに改組。
小学生時代に米国現地学校へ通い人種差別を経験。
中学では不登校となり児童精神科を受診、高校では精神的危機に陥り中退するなど、精神科ユーザーとしての苦しみに共感できる素地がある。

著者紹介

連載「精神科医が語る」医療現場の現実

※本連載は、小椋哲氏の著書『医師を疲弊させない!精神医療革命』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

医師を疲弊させない!精神医療革命

医師を疲弊させない!精神医療革命

小椋 哲

幻冬舎メディアコンサルティング

現在の精神医療は効率重視で、回転率を上げるために、5分程度の診療を行っている医師が多くいます。 一方で、高い志をもって最適な診療を実現しようとする医師は、診療報酬が追加できない“サービス診療"を行っています。 こ…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!