(※画像はイメージです/PIXTA)

医学が発達していなかった頃、人々は神に祈ったり、呪術などで怪我や病気を治そうとしていましたが、薬草の効果も知っていて治療に用いていたようです。どのような植物が薬として使われ、どのような治療が行われていたのでしょうか

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古代遺跡から見つかった薬草

イラク北部にあるシャニダール洞窟からは、約6万年前のネアンデンタール人の骨が見つかっていますが、セイヨウノコギリソウやゼニアオイの花粉も多く見つかっており、これらの植物を利用していたと考えられています。

 

セイヨウノコギリソウはヨーロッパ原産のアキレア属の多年草で、春から秋にかけて白色または薄紅色のふさ状の花を咲かせます。組織を収縮させる効果があるので、出血を減らしますから、切り傷や擦り傷に草の汁を塗っていたのかもしれません。

 

属名のアキレアは、ホメロスの叙事詩『イリアス』に登場するトロイア戦争の英雄アキレスが傷薬として利用したことに由来する、といわれています。ヨーロッパでも「兵士の傷薬」と呼ばれ、古くから利用されていました。また、抗炎症作用や抗病原性、抗潰瘍性もあり、今でも呼吸器感染症や消化器疾患、皮膚疾患の治療に使われています。

 

また、ゼニアオイの花や葉には、粘膜を保護する成分が含まれているので、風邪を引いた時の喉の痛みや腫れを抑えるために利用されていたのかもしれません。現在もゼニアオイの花のエキスは、保湿効果を高めるために化粧品や洗顔料、ボディーソープなどに利用されています。

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