(※写真はイメージです/PIXTA)

親族の中に失踪し、行方知れずとなっている人がいる場合、放置していると、遺産分割に影響が出るなど、大きな問題が発生することがあります。数十年にわたって連絡が取れない場合は、「失踪宣告の申立」も選択肢に入ってきます。多数の相続問題の解決の実績を持つ司法書士の近藤崇氏が解説します。

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法定相続人ひとりが行方不明で、手続きが難航

今回相続の相談のために筆者の元へ訪ねてこられたのは、40代のビジネスマン、山本さんだ。

 

数ヵ月前、相談者である山本さんの叔父、昭雄さんが他界した。昭雄さんは、山本さんの父親のすぐ下の弟にあたる。昭雄さんの妻は数年前に他界しており、ふたりの間には子どもはいない。この叔父の相続人にあたるのは、山本さんの父親と、父親の末弟である晴彦さんのふたりだという。

 

しかし大変困ったことに、山本さんのもうひとりの叔父である晴彦さんは、十数年以上前に家を出たきり、いまなお行方不明なのである。晴彦さんは若いときから放浪癖があり、突然理由なく姿を消しては、数ヵ月~数年後にふらりと戻ってくるようなことを繰り返しており、親族もあきれ果てていた。しかし、今回は十数年という大変な長期間にわたって音信不通となり、親族がいくら探しても連絡を取ることはかなわなかった。

 

亡くなった昭雄さんの財産は、品川区にある大きな一軒家と4000万円程度の預貯金、3000万円程度の投資信託、奥様が残した多数の宝石や貴金属等。合計すると軽く2億円は超えると思われる。

 

しかし、相続人に晴彦さんという行方不明者がいるために手続きが進展せず、どうしたらいいのか困り果てていたのだった。

 

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