(※画像はイメージです/PIXTA)

中学受験する小学生。家庭での勉強時間については「学年+1時間」と言われています。学校から帰ってくるのが16時だと、寝るのは0時になる計算です。実際はどうなっているのでしょうか。※本連載は安浪京子氏、おおたとしまさ氏の著書『中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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都立高校の二極化、一部の都立高校では定員割れ

「公立高校復権で、もはや中学受験をする意味はない」

 

これ、とてもよく聞く言説なんですが、何を言っているのかよくわからないというのが正直な感想なんですね。というより、こういう言説が出てくるあたりに、この国の受験偏重の病理的教育観の闇があるように思います。

 

おそらく「公立高校復権」というのは公立高校の難関大学進学実績が向上していることを指しているのでしょう。さらに前提として、中学受験をするのは“いい大学”に入りやすい高校に入るためだという思い込みがあるように思います。で、難関大学を目指すうえで、公立高校からでもこれだけたくさん合格できているのだから、わざわざ中学受験をする必要なんてないじゃないかという理屈であろうことは推測できるんです。

 

“いい大学”に行くために有利だから中学受験をするという考えが理屈として間違っていることは前回で述べたとおりですが、ここでは百歩譲って、“いい大学”にたくさんの合格者を出す高校にわが子を入れることが“正解”だと仮定して、中学受験と高校受験を比較してみましょう。

 

まず、公立高校復権とは言われますが、いま全国の公立高校の難関大学進学実績が良くなっているように見えるのは、一学区制を導入する都道府県が増えているからです。

 

たとえば「堀川の奇跡」と呼ばれるほど短期間で進学実績が急上昇した京都市立堀川高校。背景には、もちろん探究型授業の導入などもありましたが、何よりも大きかったのは、普通科クラスとは別に専門学科のクラスを設けて、京都市内のみならず京都府全域から生徒を募集できるようにしたことです。大阪府の北野高校も、学区の制約を取り払うことで進学実績が向上しました。

 

東京の都立高校も、石原都知事の時代に始まった都立高校改革の一環として、学区が撤廃されました。東京都の人口は約1400万人。これは東北地方(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)と北陸地方(新潟・富山・石川・福井)の全県合計の人口に匹敵します。それだけの巨大な母数の中から、学力最上位層を7つの進学指導重点校に集中させる施策です。7校の中でも日比谷、西、国立は別格に人気がある。進学実績が伸びるのはある意味当然です。

 

もちろん私立学校の場合は都道府県を越えて生徒募集ができるのでもともともっと有利な条件でしたが、何が言いたいかといえば、たしかに公立高校の進学実績は向上していますけれど、その分入るのも格段に難しくなっているということです。

 

また構造的に、人気のある都立高校とそうでない都立高校の間に格差が拡大するしくみであることも忘れてはいけません。実際、東京都が私立高校学費の実質無償化を実施したところ、一部の都立高校では定員割れが生じました。都立高校の二極化現象です。

 

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