(※画像はイメージです/PIXTA)

中学受験専門カウンセラー安浪京子 × 教育ジャーナリストおおたとしまさ。中学受験を前提として、基礎学力をつけるには公文か、そろばんか、どっちが有効なのか――。教育現場に詳しい2人はどう答えたか。※本連載は安浪京子氏、おおたとしまさ氏の著書『中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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基礎学力をつけるには公文か、そろばんか

おおた 「公文そろばん論争」は興味深いですね。中学受験を前提として、基礎学力をつけるには公文か、そろばんか――。そろばんといえば、「そろばん道場」というように一種の「道」であって、勉強とはちがう集中力とか“ゾーンに入る経験”などが得られると思うんです。そこは、公文にはないそろばんの魅力であり神秘的な部分ですよね。

 

安浪 道場は「しつけ」てもくれますしね。

 

おおた 一方で、コロナ休校のようなときには、公文の良さが発揮されると思います。好き嫌いは当然あるけれど、一応、例題を見てマネして数をこなすという作業で進めることを前提にしているから。

 

安浪 一人でできますしね。私は、母親が公文の先生をしていたので「公文っ子」なんですよ。小4で高校教材を解いていたんですけど、そのせいで、いわゆる算数ができなくなったみたいで……。公文はパターン学習だから思考力がいらないんです。以前、脳学者の先生と対談したとき、「私、計算は苦じゃないけれど、灘中の問題はめちゃくちゃ頭使います」と話したら「計算のときは頭を使っていないんだろうね」と言われました(笑)。その話の流れから、先生も「公文とそろばんでは脳の鍛える場所がちがうんでしょうね」と。

 

おおた 公文は代数の計算問題をいかに効率よく解くかに特化してつくられたメソッドですからね。

 

安浪 だから私、「数量」の分野に弱いんです。数字はあくまで「数字」であって、「数」という量的概念を持たずにきたので、男子最難関校の数量分野の問題、今でも苦手なんですよ。

 

おおた へえ、きょうこ先生が、実は……。

 

安浪 今は何十年もやってきたから解けるんですけどね。だから、息子には公文はさせず、頭を使う問題ばかりさせてきました。ただ、そろそろ計算スキルを磨くタイミングかなと思って、コロナの休校中に公文を始めました。

 

おおた いいじゃないですか。中学受験の準備として、どの教材まで進めておけばいいのかですが、きょうこ先生は「5年生の夏までにはF教材(小学6年生相当)」と書かれていますが、以前、僕が公文の本を書いたとき、「3年生までにF教材」と書いたんです。というのも、F教材は分数と小数の四則計算なので、中学受験で有利な条件として働かせるのなら、塾に入る前までに、欲をいえば3年生までに、と補足したいんですけど、どうでしょう?

 

安浪 公文は一人でどんどん進んでいけるから、3年生でF教材を終えるような子はそれなりに優秀です。そういった子は、公文があってもなくても上位校に入れる素養があり、そもそも「公文そろばん論争」は必要ないと思うんです。私が「5年生の夏までにはF教材」と書いたのは、計算の苦手な子が4年生で塾に通い始めたとき、塾の計算テキストだけでは限界があるから、という文脈だったんです。

 

おおた なるほど。

 

安浪 あと、計算はやらないと忘れるんです。今、教えている6年生の男の子は、1年生でG教材(中学1年生相当)まで進んでいたんですが、しばらく公文を休んでいる時期があって、5年生から私が中学受験算数を教え始めたら「通分」を忘れていました。計算も英会話と同じで、やらないと忘れてしまうんです。

 

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中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール

中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール

安浪 京子 おおた としまさ

大和書房

中学受験では、親が子どもをサポートしようと一生懸命になるほど、無意識に子どもと一体化し、中学受験の迷信に縛られて子どもを追い詰めてしまいがちだ。子どもの人生は合格発表の瞬間に終わるわけではない。大人が子どもの受…

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