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偏差値は入試の難易度を示しているだけ
■偏差値が高い学校ほど“いい学校”だ
偏差値が高いからといって〝いい学校〞だとは言えないことくらい誰でも知っていると思います。でも、学校を選ぶに際して、中学受験の偏差値はもはや本当にあてにならないものであることを知っている人は意外に少ないかもしれません。
前提として、「学校の偏差値」というものは本来存在しません。各塾や模試業者が配布する「偏差値一覧」における各学校の偏差値は、受験生の模試での成績と実際の中学入試での結果を逐一照らし合わせ、「偏差値がこれくらいなら8割の確率でこの学校に受かっている」とか「偏差値がこれくらいなら5割の確率でこの学校に受かっている」という目安としてはじき出されるものです。
それを「80パーセント偏差値表」「50パーセント偏差値表」などと呼びます。
つまり「開成=71」「桜蔭=71」のような偏差値は、入試の難易度を示しているにすぎません。平たく言えば「どれだけ入るのが難しいか」。たとえてみるならばラーメン店の行列のようなものです。
長い行列を見ると、「あれ? このお店おいしいのかな?」と思うのが人情です。「日本人は行列を見ると並びたくなる」ともよく言われますから、一度行列ができると行列が行列を呼び、しばらく長い行列が続きます。
でも、行列ができているからといってそのラーメンが自分の口に合うかどうかはまったく別問題ですよね。ましてや、たまたまテレビや雑誌で紹介された直後だっただけかもしれません。いわゆるインフルエンサーと呼ばれるブロガーがお金をもらってプロモーションしたのが当たっただけかもしれません。できたばかりのお店にもしばらく行列ができるものです。
むしろ自分の口に合うラーメン店に行列ができていないのなら「ラッキー!」と思うはずです。自分の舌が「ここのラーメンはおいしい!」と告げてくれているのに、「でも行列が短いからダメなお店だ」とは思わないでしょう。
偏差値も同じです。自分たちが気に入った学校の入試難易度が低いことはラッキーなことです。逆に偏差値が高い学校は、長い行列に並ぶ価値が本当にあるのかをより厳しく吟味しなければなりません。
以上だけでも、偏差値による学校選びがいかにナンセンスであるかがおわかりいただけると思うのですが、さらに昨今の中学受験における偏差値がどれほどあてにならないものであるかを説明したいと思います。