(※画像はイメージです/PIXTA)

中学受験する小学生。家庭での勉強時間については「学年+1時間」と言われています。学校から帰ってくるのが16時だと、寝るのは0時になる計算です。実際はどうなっているのでしょうか。※本連載は安浪京子氏、おおたとしまさ氏の著書『中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

人気私立中高一貫校の高校募集停止の理由

しかも東京都の場合、小石川、武蔵、両国などいわゆる二番手校と呼ばれていたような都立名門校が2000年代中盤にすでに中高一貫校化しています。追い打ちをかけるように、男子であれば本郷、女子であれば豊島岡(豊島岡女子学園)のような人気私立中高一貫校の高校募集停止が相次いでいます。

 

都立最上位校には手が届かない、学力的に「上の下」に位置する中学生たちの選択肢が狭まっているのです。「トップ校と二番手校以下にこんなに差ができてるなんて知らなかった!」と言う中学生の保護者の声を毎年のように聞きます。

 

その受け皿として、いま新しい動きがあります。都立トップ校と競合するような私立上位校が高校募集を停止する一方で、中学受験ではいわゆる「中堅校」と呼ばれるような学校が高校からの募集を再開しているのです。高校受験の志望校選びのエアポケットを埋める形です。

 

要するに、難関大学に多数の合格者を出す高校に入ることを目的とした場合、日比谷・西・国立のようなトップ都立高校に合格する自信があるのなら中学受験を回避するのは合理的な判断といえますが、その自信がないならば、中学受験をしたほうがわが子の学力に合った学校の選択肢が多いということです。

 

しかも高校受験の場合、内申点が無視できません。いわゆる優等生タイプの生徒が有利ですし、トップ都立高校を目指すのならオール5に近い成績をとっていなければいけません。

 

東京都では音楽、美術、体育、技術家庭科の実技系の4教科を2倍に換算して内申点をつけます。いわゆる“勉強”ができるだけではダメで、オールマイティな生徒が有利になるしくみです。そのルールでわが子がいい内申点をとりやすいと思えるなら、高校受験を選択すればいいでしょう。

 

と、あくまでも百歩譲って、学歴主義的価値観を前提に、主に東京都における中学受験と高校受験を比較しましたが、そもそも開成や桜蔭や灘のような私立中高一貫校がない地方ではこの限りではありません。中学受験など考えず、公立名門校を目指すのがその地域の王道でしょう。地域には地域の教育文化がありますから、それぞれの地域の教育文化をよく理解して選択してほしいと思います。

 

その裏返しとして、地方出身の人がその地方での教育文化を前提に、首都圏の教育文化を理解しようともせず、わが子の受験と進学の方針を決めてしまうのは、非常に危険なことだということも付け加えておきます。

 

Pointまとめ
● 公立復権の裏側で公立高校の中での二極化が生じている。
● 上位校ほど高校からの募集を停止している。
● 内申点をとりづらいタイプの子どもは高校受験で不利になる。

 

おおた としまさ
教育ジャーナリスト

 

 

中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール

中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール

安浪 京子 おおた としまさ

大和書房

中学受験では、親が子どもをサポートしようと一生懸命になるほど、無意識に子どもと一体化し、中学受験の迷信に縛られて子どもを追い詰めてしまいがちだ。子どもの人生は合格発表の瞬間に終わるわけではない。大人が子どもの受…

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