現在は治療法も確立されて後遺症もなく完治する病気です。
1960年代、岡山県の長島愛生園というハンセン病の隔離施設に通っていた精神科医の神谷美恵子さんが、ここの患者さんたちの生きがいについて調査をしました。
神谷美恵子さんは美智子皇太子妃(当時)の「心の相談役」としても知られた、じつに深い人生を歩まれた人物です。
ハンセン病を罹患した多くの人々は、
「世の中が真っ暗になり、すべての人生設計が破壊されてしまった」
「深い谷底へ落とされた感じ」
「厭世的になり、孤独になった」
という心境になったそうです。
限界状況──。
それは死の恐怖、もう救われることがないという絶望感。
そして自己や他人を責めるつらさからすべての生きがいを奪われるといいます。
ゲーテは「人間の意識をつくるものは苦悩である」と言っていますが、当時のハンセン病の患者さんはいかばかりの苦悩を味わったことでしょうか。
しかし、彼らはやがて、医師や看護師の献身的な行為に感謝の念を覚えたり、花や生きものを育てたり、人への奉仕や役立つ作業に喜びを感じるようになったり、人によっては信仰に光を見出していったそうです。
新たな関心、好奇心に気づき、場合によっては「なに、くそ!」の反発心、そして心のゆとりが芽生え悲しみと時間の融和がはかられていきます。
真っ暗闇に希望を見出し、やがて「人生で起こることすべてに深い意味がある」という観念にたどりつく、深淵な人間ドラマがありました。
レベルの違う試練を乗り越えている人たちがいます。
人生を深く、愉しく生きるための「夢と志」
▼浅く生きる人=人生の枝葉にとらわれている
人は人生のうちで総決算を迫られる事態が必ずやってくるものです。
世界的な不況に襲われたり、自然災害に見舞われたり、思わぬ大病に冒されたり、信頼する人に裏切られたり、仕事を失ったりとさまざまな試練があります。
世の中がこんなにもガラリと変わるものかと言葉を失うことでしょう。
そんなとき、人は自動的に「本当に大切なこと」を見つめさせられるものです。
それが命と健康なのか、家族なのか、仲間なのか、ライフワークなのか、はたまたお金なのか人それぞれでしょう。
自分の今までの人生を内観をもさせられます。
私で言うと、若い頃からいろいろなところへ旅をしたこととか、1000人を超える参加者の前で講演をしたこと、日本各地をまわったこと、家族といっぱい遊んだことなどの愉しい思い出が蘇よみがえります。
「What A Wonderful World」
というポジティブな感情が湧き起こってもきます。
一方で人生の枝葉末節でどうでもいいことに煩悶していたことにも気づかされます。
大きな転換をいやおうなしに求められるときは、大きく変わるチャンスです。
自分らしく幸せに生きるためには最低このことだけは必死に守ろう! という生存本能に添うことです。
大切なことは「命」「生活」「経済」という順番です。
そしてそんなときこそ、自分の本当の夢、そして志だけは大きく、遠くまで貫通させる力を持ちたいものです。
今さら夢なんて持てないよ。志なんて意味がわからない、などとあきらめてはいけません。
人生を深く、愉しく生きるうえでも原点は「夢と志」なのです。
夢や志は大きく持った方が自分自身やまわりを感化させるものです。
そして、小さなマイルストーンとなる指標をひとつずつ越えていけば、必ず夢は叶います。
混乱期こそ、自分の夢や志を総点検してみて下さい。
松尾 一也
株式会社ルネッサンス・アイズ