心からお客様を大切にするには、まず数字の呪縛から逃れるしかないと考えた。「売上を気にするな」と伝えるだけでは、人は数字の呪縛から自由になれない。下した決断は「ノルマ廃止」。その結果は。※本連載は飯田結太氏の著書『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)を抜粋し、再編集したものです。

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感謝の時間は仲間のいいところを知る時間

■感謝を大切にする「感謝の時間」

 

今までおろそかにしてきた「大切な人が大切にしていることを大切にする」ために、まずは「感謝」を大切にすることから始めました。

 

すると、すぐに自分の愚かさに気づきます。感謝の気持ちを持って日々生きようと思う心を1時間もすると忘れ、すべてが当たり前と思っていた自分に戻ってしまうのです。頭ではわかっているのに、行動が伴いません。以前と同じように従業員を怒鳴ってしまった後、「なんで僕はこんなに駄目なんだ!」と落ち込むのです。

 

誰よりも、僕自身が感謝の心を忘れてしまいます。そこで日課としてできるよう、日々の行動の中に感謝することを仕組み化して、忘れないようにできないかと考えました。それが「感謝の時間」です。朝礼と終礼の一日に2回、感謝の出来事を思い返し、口に出して従業員と共有する時間を設けました。

 

朝礼では、静かに目をつぶって60秒間、出勤するまでの間にあった出来事を思い、心の中で感謝します。「今朝、玄関まで見送ってくれた妻と子の笑顔にありがとう」「元気に出社してくれたみんなにありがとう」など、どんなことでもかまいません。そして、その中でもっとも大きく感謝した出来事を一人ずつ発表しあいます。

 

終礼では、一日を思い返して感謝すべきことを、また60秒間目をつぶって考えます。そしてその日いちばん感謝した出来事を発表し、みんなでシェアをします。「×さんが笑顔で挨拶してくれたから、元気に仕事がスタートできました」「×さんが△をしてくれたから、お客様の接客に専念できました」など、どんなことでもかまいません。

 

ところが、感謝の時間を始めた当初は感謝すべきことが思い浮かばず、60秒間を持て余していました。どれだけ僕が日々当たり前の感覚で過ごしていたかを思い知らされました。

 

それでも毎日続けているうちに、感謝すべきことに気づく力が育ちます。何気なく過ごしている日常が感謝であふれているありがたさに初めて気づくのです。

 

従業員たちが元気に出勤してくれること。
お客様が店に来てくれること。
取引先が商品を届けてくれること。

 

当たり前のことなど何一つなく、すべてが感謝の種でした。

 

感謝の心を持って人と接して物事に向き合うと、感謝の種は大きく膨らんでいきます。

 

小さな感謝の気持ちがより大きな感謝の気持ちを育み、優しさの循環が始まりました。感謝の時間は、仲間のいいところを知る機会にもなっています。

 

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