(※画像はイメージです/PIXTA)

「思考と運命は最終的につながっている」とマザー・テレサの名言は示唆します。つまり、自分で思考したことこそが実現するということになりそうです。※本連載は精神科医である和田秀樹氏の著書『孤独と上手につきあう9つの習慣』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

なぜ「クリティカル・シンキング」を磨くか

■「ひとり弁護士」訓練で創造性がアップ

 

思考の方法として意識的に身につけてほしいのは、「クリティカル・シンキング(批判的思考)」です。

 

私は、「見識」とは「どれだけたくさんの人の立場に立って考えられるか」ということだと考えています。

 

つまり、ひとつの意見を鵜呑みにせず、さまざまな方向、さまざまな人の立場から考えられるようになること。これこそが「見識を蓄える」ということに他ならないのです。

 

クリティカル・シンキングは、こうした思考の柔軟性を培うのにぴったりです。

 

具体的には、人の意見に触れたとき、「それは本当に正しいのかな?」「反対意見はできないかな?」と、「反論」をあえて試みるように心がけてみる。

 

私はこれを「ひとり弁護士訓練」と呼んでいます。

 

弁護士は、依頼人の話を聞いても、それをそっくりそのまま鵜呑みにしたりはしません。必ず裏付けをとって、客観的な証拠を得てから信じます。争いの調停をするにしても、双方の意見をよく聞いて判断します。

 

私たちも、「この意見は本当にそうかな? 別の視点で見ると違う意見にはならないだろうか」と、弁護士になったつもりで考えてみる。例えば、マスコミの袋叩きにあっている人を、弁護士になったつもりで、「いい点」を見つけてかばってみるのです。

 

これは、テレビで聞いた意見、雑誌で読んだ意見、友達の意見、ご近所さんから聞いた意見などなど、人の意見に接したときにはどんなときでも実践可能です。

 

その意見が腑に落ちようと腑に落ちまいと、なるべくさまざまな視点から、自分なりに考え直すように意識してみてください。

 

本に書いてあることも、鵜呑みにするより、別の立場ならどう考えるか、
あるいは反論するなら何かできないかを考えてみるのです。

 

こうした訓練を重ねていくことで、人真似や「他人本位」ではない、自分なりの考え方、「自分本位」の思考ができるようになるのです。

 

「自分本位」の思考は、「みんなと同じ」で得た壊れやすい安心ではなく、本物の自信と安心をもたらしてくれます。

 

体のなかにひとつ芯がとおったような安心感が得られます。

 

ちなみに、こうした「反論」の訓練は、意欲や創造性を司る脳の前頭葉を刺激して、その若々しさを保つことにも役立ちます。

 

前頭葉が若々しいというのは、若々しい考え方ができるということです。ひらめきを得たり、面白いアイデアを思いついたり、意表をついた考え方をするためには、前頭葉を鍛えるのが一番ですから、そのためにも「反論」の訓練はよい「脳トレ」になりますよ。

 

和田 秀樹

和田秀樹こころと体のクリニック 院長

 

 

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