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即戦力だけでなく「これから育つ人材」も採用
主体性をもって患者さん一人ひとりとの関係を築くという法人理念は、そのまま一人ひとりの患者さんにこちらも一人ひとりが真剣に向き合うということです。一人ひとりの患者さんの気持ち、状況、望みなどを知り、対応していく。それはドクターが考える治療方針もそうです。
その患者さんのことを思い、ベストの選択をします。ただ、自由診療には決して安くはないというネックがあります。しかし、多くの場合、ベストの選択をすれば自由診療にいきつくのもまた事実です。その場合に、決めつけるのではなく、他の選択肢も示しつつ、なぜこれがベストなのかということもしっかりと分かりやすく説明します。インフォームドコンセントの重要性ということにもつながりますが、それは、もちろん一義にはドクターの務めですが、助手や衛生士がその立場から補強するというフォーメーションも、患者さんに真剣に向き合っているからなせることだと思います。
そのためにはスタッフとともに、いいドクターに加わってもらって、伸ばしていくことも大切です。
ただ、最初から即戦力で加わってもらうことも重要ですが、やはり組織の下支えはある程度の技量といい人間性をもった若手に来てもらって育てることが大事です。プロ野球の世界ではありませんが、それこそ「育成と補強」のバランスなのです。
伸ばしたいと思える若手が実際に伸びていける環境整備が必要です。大事なのはやはりオン・ザ・ジョブ・トレーニングやアクション・ラーニングの手法です。できるドクターとタッグを組んでもらって、実地に学んで、吸収してもらう。あくまでもアシスタントではなくドクターですから、プライドもあるでしょうし、少なくともベースとなる知識はあるでしょう。そこをくすぐりながら、より伸びてもらうには、それができる中堅のドクターも必要になるわけです。
順繰りに下を伸ばしてもらう。これはどこの世界でも同じだと思います。だから、即戦力である場合は、そうした部署にそういう立場で配置して、自分自身でオン・ザ・ジョブ・トレーニングを自らに課しながら、患者さんを治療していただいています。
別の言い方をすれば、佑健会に上がりの立場、安住していい地位などはないということでもあります。いつまでも伸びていってもらいたいというわけです。
治療が苦手なドクターは「治療以外」に特化すればOK
組織が大きくなると、もっと幅広く適材適所でその才能を伸ばしてもらうということもできるようになりますので、特殊な例かもしれませんが、一つの例を書き添えておきたいと思います。
歯科医の資格をもった人のなかにも、いろいろな立場の人がいます。タービンという歯を削る道具を持ったことがないドクターも少なくありません。大学の教授になる人もいます。いろいろな居場所があるのです。応募される方のなかにも、「治療は苦手」という人もいます。その場合は、話し合って、ではこの分野を突き詰めてくださいと雇い、そういう場所に配置するというケースもあります。
例えば、スキャニング専門の部門を立ち上げました。これは口の中をスキャンして、歯の一部分を修復したり、あるいは歯を失った箇所に人工の歯をつくる目的で歯型取り(印象採得)をしたりという作業を行う部門です。その光学印象のデータを歯科技工士に送れば必要な人工の歯をつくってくれます。
こちらの担当者には、実際に歯を削るといった作業は発生しません。そのデータ上でコンピュータが歯をデザインする。次にコンピュータでブロックを削る。それで歯が出来上がる。3Dプリンタです。この方法でブリッジもできます。マウスピース矯正もできる。歯の模型を出せば、それに合ったマウスピースがつくれるわけです。データをベースにシミュレーションできれいに並んだ状態をまずつくって、そこに向かって順序立てて使用するマウスピースが50枚くらい出来上がって、それを家で交換していけば矯正できるというものです。
光学印象採得の際に患者さんに対して行う処置は、ペンより少し大きな口腔内スキャナーを必要な箇所に挿入し、スキャニングするだけです。患者さんの負担は昔に比べて大幅に軽減されています。
ある方には、その方法を取得してもらって、専門にやってもらっています。今ではそれだけで専門医院ができる時代なのです。一大産業になりつつあります。ちなみに、佑健会もそうした専門の医院をすでに3つ出しています。その方にも、一つのモデルケースとして、そうした医院ができるように頑張ってもらっています。
また、妊娠をされて少しの間、現場を離れる女性ドクターなどには、矯正の診断を学んでもらい、それを自宅からリモートで行ってもらい、現場で共有していくといった方法を採っています。
河野 恭佑
医療法人社団佑健会 理事長
株式会社デンタス 代表取締役社長
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