(※写真はイメージです/PIXTA)

「予約の取り方ひとつで患者数は激増する」。そう語るのは、患者の奪い合いが激化する歯科業界において、わずか5年間で25医院を開業した河野恭佑氏。まずは、アポ帳をきれいかつ丁寧に書き込むこと。すると、患者さんの増減や、曜日や時間帯ごとの混雑状況が一目で分かります。次に、スタッフ全員で「帳面の空いているところ=増やさなくてはいけない曜日・時間帯」を確認しあうことが重要です。では、実際にどうやって埋めていくか。本稿で、具体的なアポ取りのコツを見ていきましょう。

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来院予約は「患者さんが来たい時」が最優先だが…

アポ帳を整理すれば、自院の予約の状況を可視化できる。空いているゾーンがどういうゾーンかが経験上分かる。では、そこをどう埋めていくかを次に考えるということです。

 

まず大切なのは、スタッフの意識付けです。そこから無駄のない、もちろん自然な誘導を交えていきます。

 

例えば「1週間後以降で大丈夫な日がありますか?」「何曜日がいいですか?」と聞いて、「この日でお願いします」と言われる。「午前、午後どちらがいいですか?」と聞くと、「午後」と言われたとします。そのあとで、必要に応じて少しだけ誘導します。例えば、「午後何時くらいがいいですか?」と聞きながら、「この時間帯、すごく空いてますけど」などと勧めます。

 

もちろん、こちらで強制することはできません。患者さんは、特に働いている人は1時間とか30分の差が大切な場合が多いので、無理強いはしません。

 

ましてや、こちらから決めつけて「次回はどうします? 1週間後の何月何日の4時でどうですか?」と言うわけにもいきません。例えば今日は仕事が終わって7時に来ているのに、「4時に来られるか」と聞いているのですから、無理強いになりかねません。もちろん医師である以上、患者教育も必要なのですが、最初からはできませんし、教育は何もこちらの勝手な事情を押し付けることではありません。

ドクターが「治療の段取り」を説明しておくとスムーズ

あるいは、今日歯型を取ったのに、歯が出来上がる前に来てもらっても意味がありません。今日、歯茎が腫れて薬を入れたところなのに、明日来てもらっても何もやることはありません。大事なのは、そうした段取りをまずしっかりと示すことです。

 

そのうえで、ドクターであれば「今日、お薬を入れたので、4日後くらいに経過を見たいのですが、何月何日付近で空いている曜日はありますか?」などと聞くのが自然です。

 

その際に、少しだけ誘導できるか試してみる。そうした小まめな調整が大切なのですが、その役目は受付に任せます。

 

誘導といっても、あくまでも患者本位でできるところを少しずつずらしていくわけです。そもそも待ちの営業ですから、できることは限られています。

 

来てくれた人をどう取り込んでいくか。ここに来てよかった、もっと早く来ればよかったと思ってもらうようにしっかりと内部マーケティング(=接客態度、お客さまを迎える気持ち、心掛け、真心など、お金を掛けないマーケティングのこと)を行って、インフォームドコンセントも的確に行い、次の予約につなげていきます。

 

アポイントの基本は、なるべく患者さんの来たい時に入れてあげることです。聞き方一つで、「優しいな」「丁寧だな」と思われるようになることが大切です。

治療には「小まめな来院」が重要であるとしっかり説明

■患者側は「いつまで通院しなきゃいけないの?」と感じてしまいがち

次に、回数多く来てもらうように誘導します。例えばAさんという患者さんが今日、抜歯したとします。大丈夫だろうと思っても、万が一のこともあるので、「明日もう一度診させてください」と声を掛ける。1週間後で大丈夫だろうと思っても、「3日後にまた診させてください」と言う。そうやって連続で予約を入れてもらって、来院回数を増やす。

 

もちろん、無理に、ではなく、また無駄に、でもありません。ただ来てもらうのではなく、しっかりとした診療プランを立てて行います。自院が空いているのであれば、連続で早く来てもらって早く終わらせる。そこを嫌がる人はいないと思います。

 

もっとも歯科医院での治療は、一度に短時間で、いつ終わるのかが分からないと思われる場合が多いものです。しかし、それは仕方ないことなのです。

 

例えば根っこの治療などは毎回、毎回、少しずついじられて終わるという感触をもっている人が多いのですが、それしかやりようがないのです。短時間ずつの治療に間隔をおいて通ってもらうしかない。そうでないと悪化してしまいます。それは事実なので、そこもインフォームドコンセント、しっかりと説明をして、あいまいにせずに、小まめに予約を取っていただくようにします。

 

だから、次回の予約の必要性はやはりドクターが伝えるのがいいと思います。そのうえで、納得してもらってから、帰り際に受付で細かく決めていくという流れです。

■新患なら、なおさら「来たい日時」を優先的に案内

新患はなるべく来たい時に入れるようにしています。最初に、自分の行きたい日時に予約が取れるとうれしいと思うからです。だから、多少、その日時が混んでいても、そこはできる限り入れてあげます。これからしっかりとした関係性を構築しないといけないからです。

 

そのために、場合によってはすでにしっかりとした関係性を築いている人には少しだけ待ってもらうということもあります。関係性が良好であれば、許してもらえると思います。もちろん、人を見誤ると取り返しがつかないので、この方法は常套手段にはなりませんが、そういうことも正直、たまにはあります。

 

 

河野 恭佑

医療法人社団佑健会 理事長

株式会社デンタス 代表取締役社長

 

 

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※本連載は、河野恭佑氏の著書『歯科医院革命』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

歯科医院革命 大廃業時代の勝ち残り戦略

歯科医院革命 大廃業時代の勝ち残り戦略

河野 恭佑

幻冬舎メディアコンサルティング

コンビニエンスストアを1万軒以上も上回る歯科診療所の施設数。 一方で少子化によって患者は年々減少し、過当競争が激化しています。 年間で1600軒もの施設が廃業し、「大廃業時代」といわれる歯科業界で生き残っていく…

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