「深夜までうるさい」マンション1階の飲食店に苦情が増加…管理規約の変更「後出し」は可能か【弁護士が解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

マンション1階に飲食店があると、「洗濯物に臭いがついた」などといった苦情が出ることは稀ではありません。家主が「営業を制限させよう」と思ったらどのような措置が可能なのでしょうか。香川総合法律事務所・代表弁護士の香川希理氏が、裁判例とともに解説します。 ※本連載は、書籍『マンション管理の法律実務』(学陽書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

「1階部分の店舗」騒音・悪臭に苦情がくるように…

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当マンションは10階建てで、1階部分が店舗部分になっており、2階以上の部分が住戸部分になっています。周辺は閑静な住宅街で、夜間の人通りはまばらです。

 

これまで店舗部分に関して、店舗の種類や営業時間には何ら制限がありませんでした。ところが、最近、飲食店の臭いや煙、深夜の騒音に関して、住戸部分の方々から苦情が出ています。店舗営業の種類や営業時間を制限したいのですが、可能でしょうか。

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まず、専有部分についてであっても、共同利益に反するような行為について、どのような制限を設けるかは原則として自由であり、管理規約において店舗営業の制限を規約に定めることは可能です(法30条1項)。

 

ただし、店舗営業を制限する管理規約の新設・変更が、「一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすとき」には、例外として、当該区分所有者の承諾がなければ管理規約の新設・変更は無効になります(法31条1項後段)。

 

総会の決議による店舗営業時間の制限を認めた事例

 

結論として総会の決議により店舗営業時間の制限を設けることを認めています。

 

裁判例【東京高判平成15・12・4判時1860・66】においては、「(著者注:区分所有法3条にいう)『建物』には、専有部分も含まれるものと解すべきであるから、同条は、区分所有法中の強行法規に反したり、同法が一般的、抽象的規定を設けて制限したり、わが国の法秩序全体から導かれる制約に反しない限り、専有部分の建物の管理についても、集会(著者注:=総会)の決議によることを許容しているものと解される」とし、

 

「専有部分の建物の管理に関しては、規約によって制限する方法、集会の決議によって制限する方法、ないしは、規約に基本的な事項を定め、細目を規則や集会決議にゆだねるなど、いくつかの方法を執ることが考えられ、(中略)そのいずれを選択するかは、区分所有者による私的自治にゆだねられる」とし、

 

「複合マンションにおける店舗部分の営業時間の制限は、前記強行法規等の制限に反するものとは解されないから、集会の決議によって定め得るものと解するのが相当である」としました。

 

なお、同事案の特殊性として、設立総会の場において、管理規約と一体となった使用細則と営業時間制限が同時に決議されたと認定されている点、使用規則に「店舗の通常営業時間については、集会の決議で定める」と定められていた点、留意が必要です。

香川総合法律事務所 代表弁護士 マンション管理士

2010年弁護士登録。2013年香川総合法律事務所設立。明治大学法学部卒業、立教大学大学院法務研究科修了。
マンション管理士・管理業務主任者資格保有。
東京弁護士会マンション管理法律研究部、東京弁護士会業務改革委員会に所属。

大手マンション管理会社の顧問弁護士を多数務めるなど、マンション管理関係の事件対応に特に強みを持ち、月間100件以上のマンション管理案件の相談を受けている。

著者紹介

連載迷惑行為事例をもとに解説「マンション管理の法律実務」

※本文中の略記 法…建物の区分所有等に関する法律 判秘…判例秘書 地判…地方裁判所判決(決定) 判時…判例時報

トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務

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香川 希理

学陽書房

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