※画像はイメージです

争族、離婚トラブル、労働問題…弁護士事務所には今日も様々な相談が舞い込みます。本連載では、弁護士法人アズバーズ代表の櫻井俊宏氏が、実際に寄せられたトラブル事例を紹介し、具体的な対策を解説します。※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

「静かにしろってんだ!」大声で怒鳴る男性だが…

ドンドンドンドンドンドン。

 

「おい、毎日毎日うるせえぞ! 静かにしろってんだ!」

 

Aさんは私の所有する3階建鉄筋造りのマンションの、302号室に住んでいる20代女性です。今ドンドンと扉を叩いた50代男Xは、301号室に住んでいます。

 

Aさんから「隣の人が毎日のように『うるさい』と苦情を言ってきます。なにかしているわけでもないのに、すごく怖くて…」と相談を受けました。そこで大家である私は、監視カメラをつけて様子を撮ることにしたのです。

 

確かにこれは酷いです。ヤクザの取り立てのようにドアを強く叩いて怒鳴ってきています。1回ではなく何度もです。それどころか、1日に何回も来ている日もあります。しかも、Aさんが家にいない日でも来ています。明らかにXには「妄想の騒音」が聴こえています。

 

Aさんは怖くて眠れないのか、目にクマができて、げっそりしていました。あまりにも可哀そうなので、引っ越しを希望するAさんに費用を出してあげました。

 

私はXに対して、明渡と賠償の請求をしたいと思い、弁護士に相談しました。

 

弁護士が弁護士会を通した照会請求で、Xが以前住んでいたマンションの管理会社に問い合わせたところ、以前も同じようなことを繰り返していたという回答が来ました。Xがクレームを繰り返す人間であったという重要な情報です。

 

さて、明渡と賠償の準備を行っていたところ、303号室に住むBさんから連絡が来ました。

 

「隣の隣に住んでいるXが突然怒鳴り込んできたのですが! 何とかしてください」

 

なんとXは、隣の隣の部屋である303号室にも、同じようにドアを叩いて苦情を言ってきたのです。302号室はAさんが引っ越してから空室となっていて、隣の隣のBさんの音が聴こえるわけはありません。ますますXの妄想であることが明らかになりました。

 

303号室に怒鳴り込んできたのもカメラで撮れています。また重要な証拠を得ることができました。

 

裁判を起こして、Xには貸室を明け渡してもらうことはもちろん、空室になった隣の家賃分の損害、Aさんの引っ越し代、監視カメラ代等も請求していきたいと考えています。

 

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